バイブロハンマと油圧圧入の使い分け

仮設工

バイブロハンマと油圧圧入工法の使い分け方法についてまとめました。

鋼矢板の施工方法としては大きく分けると、
・バイブロハンマ工法
・油圧圧入工法

の2つがあります。

土留めや仮締切の積算をする際、バイブロハンマで積算して良いのか、油圧圧入引抜工法で積算しなければならないのか、積算方法について迷うことがあります。

工事を発注する際にはいずれかの工法を想定した上で発注しなければなりません。

両者には「騒音・振動の有無」特に、施工する際の「振動の有無」には大きな違いがあります。

例えば工事箇所から微妙な距離に民家がある場合など、積算方法の選択に迷う場合があると思います。

この記事ではそのような場合の積算する際のポイントについて解説しました。

この記事では以下のことについて書いています。

・バイブロハンマと油圧圧入を積算する際の基本的な考え方
・騒音振動の影響範囲からの判断方法
・経済性の観点からの判断方法

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積算する際の基本的な考え方

判断基準その1:鋼矢板施工法選定表(参考)

騒音振動による影響を判断基準として両者を使い分けるとするならば、

・騒音振動の考慮不要→「バイブロハンマ工法」
・騒音振動の考慮必要→「油圧圧入工法」

・・・としたいところですが、

実は、そう簡単に考えてしまった場合の落とし穴があります。

土木工事標準積算基準書では仮設工に「鋼矢板施工方法選定表(参考)」が掲載されており、陸上施工で鋼矢板を施工する際の経済的な積算の目安が一覧から判断できるようになっています。
(掲載場所:国土交通省土木工事標準積算基準書 第Ⅱ編共通工 第5章仮設工 ⑤鋼矢板施工法選定表)

なお、施工条件については下記の項目が考慮されています。

・鋼矢板型式
・環境対策(無し、低振動、無振動)
・継施工の有無
・打込長
・N値(Nmax)

この表で注目して頂きたい点は、騒音・振動への環境対策が不要な場合においても「油圧圧入引抜工法」が選択肢の候補とされていることです。

傾向としてはNmaxが25以下、かつ、「4〜15m」など比較的地盤が軟弱で中程度の打込み長である場合は「油圧圧入引抜工法」が選定候補とされることが多いです。

与条件については明確な明示がありませんが、一般的な現場条件で施工した場合の経済性を考慮した表であるとのことです。

経済性の面からの検討が別途されている場合はこの選定表を優先する必要は無いかと思います。

判断基準その2:騒音規制法と振動規制法

鋼矢板を施工する際の騒音・振動の程度は施工方法によって大きな違いがあり、現場条件に適した経済的な工法選定をする必要があります。

建設工事等から発生する騒音・振動は法律面からは関係する法令として「騒音規制法」「振動規制法」による規制を受けます。

特にバイブロハンマを用いた施工では鋼矢板を通して現地盤に振動が直接伝播されるため、振動による影響を考慮しなければなりません。

バイブロハンマを用いた作業は「特定建設作業」とされており、規制対象とされています。

詳しくは下記の記事でまとめましたので参考にしてください。

「騒音規制法」「振動規制法」は、法律であるためもとの文面から理解しようとすると非常に難しいです。

積算及び現場施工において最も大事な点は以下の部分に集約されますので、この部分だけでいいので把握してから積算してください。

キーワードは「指定地域」「特定建設作業」です。

指定地域

指定地域は都道府県知事もしくは市長が「住民の生活環境を保全する必要があると認める地域を指定したもの」です。

地域については都道府県のホームページもしくは市町村のホームページにて公開されていますので、確認してください。

概ね都市計画法における用途地域の指定に従って指定地域が定められている場合が大半かと思います。

特定建設作業

特定建設作業とは建設工事として行われる作業のうち、著しい騒音もしくは振動を発生する作業であって政令で定められているものです。

詳細については、騒音規制法施行令と振動規制法施行令で定められています。

バイブロハンマについては「くい打機」であるため、両規制法の特定建設作業に該当します。指定地域内で作業を行う場合は事前に届け出が必要です。

なお、「油圧圧入引抜工法」については特定建設作業に当たらないとされており、対象外です。

騒音の規制基準

騒音規制法では規制基準については環境大臣が定めるとされております。

環境省ホームページより出典を掲載しますので参考にしてください。
出典:環境省ホームページ ー 騒音規制法の概要パンフレット(https://www.env.go.jp/air/noise/low-gaiyo.html

振動の規制基準

振動規制法では振動の規制基準については環境省令で定めるとされております。

環境省ホームページより出典を掲載しますので参考にしてください。
出典:環境省ホームページ ー 振動規制法の概要パンフレット(https://www.env.go.jp/air/sindo/low-gaiyo.html

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騒音・振動の影響範囲からの判断

騒音・振動による影響の判断が容易である場合は特に積算する際に迷うことは無いかと思います。

一方、現場から微妙な距離に民家があるなどは判断に迷う場合が出てきます。

このような場合は前述の騒音・振動について環境省から示されている規制基準を元に、騒音・振動の影響範囲について検討します。

具体的にはバイブロハンマなど騒音・振動の発生源からの距離による減衰量の予測式を文献などから調べ、それら情報を元に作業に必要な離隔距離を算出します。

算出方法の例について以下に示します。

上記のグラフは文献調査で記載されていた仮想の予測式Aを元に騒音規制法の基準値85dBを下回る離隔距離について算定した例です。

上記の場合は騒音レベルが85dBを下回るためには30mの離隔距離が必要になることが分かります。

環境省基準で求められているのは「敷地境界線上での測定値の大きさ」ですので、上記検討より規制基準値以下で作業をするためには「騒音・振動が発生する位置から敷地境界線まで30mの離隔距離が必要になる」であろうことが判断できます。

振動についても同様に検討を行い、騒音・振動の両面から離隔距離を検討した結果から距離の大きい方を必要な離隔距離とします。

より詳細な検討方法については、日本建設機械施工協会から発行されている「建設工事に伴う騒音振動対策ハンドブック」を参照してください。

ただし、こちらの書籍は販売終了となっておりますので新品購入は難しいかと思います。

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経済性の観点からの判断

施工枚数があまり多くない場合「油圧圧入引抜工法」の方が経済的になる場合がある

バイブロハンマによる施工方法では多くの場合で想定される標準機械がクローラクレーンとなります。

クローラクレーンは運搬費への分解組立輸送費の計上が必要になるため、油圧圧入引抜工法と比較すると作業開始時の費用が高額になります。引抜き時においても同様です。

油圧圧入引抜工法で想定されているラフテレーンクレーンの分解組立輸送費については、積算基準では共通仮設費率に含まれています。

打込み時は「電動バイブロハンマ」でも、引抜き時は「油圧バイブロハンマ」とした方が経済的な場合がある

以前は油圧バイブロハンマによる引抜きクレーンはクローラクレーンでしたが、現在の積算基準ではラフテレーンクレーンが標準機械とされています。

これにより、引抜き時に油圧バイブロハンマを想定する場合は分解組立輸送費を計上する必要がなくなりました。

油圧バイブロによる引抜きの調査結果が、ラフテレーンクレーンを使用した施工実績が多かったことによると思われます。

これにより、打込み時を「電動バイブロハンマ」とした場合においても、施工枚数があまり多くない場合は「油圧バイブロハンマ」による引抜きを採用した方が経済的となる場合が多くなりました。

ただし、油圧バイブロハンマによる引抜きにおいてもクローラクレーンが必要とされる現場条件である場合は別途検討するのが適切かと思います。

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最後に

以上で、バイブロハンマと油圧圧入の使い分けについての記事を終わります。

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ここまで記事を読んでくださってありがとうございました!

それでは!

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