【場所打ち杭】無溶接工法の積算【かご筋】

基礎工

無溶接工法でかご筋を組立てる際の積算方法についてまとめました。

平成24年の道路橋示方書の改定において、「場所打ちコンクリート杭の鉄筋かごの組立て上の計上保持などのための溶接を用いてはならない」と規定されて以降、鉄筋かごの組立てにおいては無溶接工法を用いることが必須になりました。

無溶接工法には大きく分けて「Uボルトで軸方向鉄筋を固定する方法」「メーカー品の無溶接金具で軸方向鉄筋を固定する方法」があります。

以前は市場単価の適用外でしたが、現在は市場単価で計上可能です。

記事内では、これらについて積算する際の予備知識を書いています。

また、「帯鉄筋へのフレア溶接」についてもよく話題に上がるため、こちらについても記事内で触れました。

この記事では以下のことを書いています。

・無溶接工法とは
・無溶接工法の積算方法
・設計委託で数量拾いされていない理由
・帯鉄筋のフレア溶接について

帯鉄筋のフレア溶接についてお悩みでこのページに来られた方がいらっしゃる場合は、『場所打ちコンクリート杭の鉄筋かごの無溶接工法 設計・施工に関するガイドライン」(一社)日本基礎建設協会』を購入して読まれた方が良いかと思います。

帯鉄筋をフレア溶接で施工する場合の施工管理要領について詳しく記載されています。この記事でも抜粋して内容を紹介しています。

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無溶接工法とは

場所打ち杭の鉄筋かごを組立てる際、軸方向鉄筋や帯鉄筋に溶接をせずにかご筋を組立てる工法です。

平成24年の道路橋示方書の改定において、「場所打ちコンクリート杭の鉄筋かごの組立て上の計上保持などのための溶接を用いてはならない」と規定されて以降、鉄筋かごの組立てにおいてはこの方法を用いることが必須になりました。

無溶接工法では、無溶接金具などによって鉄筋かごの組立てを行います。

鉄筋かごの一かご当たりの重量が大きくなる場合は、鉄筋が強固に組立てられていなければ自重によって変形や分解してしまう危険があります。

これに対し、従来は組立強度を確保して安全施工するため溶接で固定することが一般的でしたが、平成24年の道路橋示方書の改定より禁止されました。
これは、溶接の方法や溶接工の技量によって構造鉄筋の断面減少を生じる可能性があることを問題視されたためです。

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無溶接工法の積算方法

かご筋を組立てる際の無溶接工法は大きく分けて2つの方法があります。

(1)組立用の平鋼に軸方向鉄筋をUボルトで固定する方法

(2)組立用の異形棒鋼などに軸方向鉄筋を無溶接金具で固定する方法

かご筋を組み立てる際の形状保持のための溶接が道路橋示方書で禁止されて以降、はじめの頃は「場所打ちコンクリート杭の鉄筋かごの無溶接工法 設計・施工に関するガイドライン」(一社)日本基礎建設協会で示された仕様に沿った(1)による対応が主流でした。

現在では、(1)による場合と比較して手間を少なく施工できる「無溶接金具」の開発・普及が進んだため、(2)による方法が主流になっています。

どちらの方法でも積算は可能です。

ただ、現在は(2)の方法で施工することが主流となっている以上、(2)の方法で積算した方が良いのではないでしょうか。

以下で、それぞれの積算方法について解説したいと思います。

(1)組立用の平鋼に主筋をUボルトで固定する方法

平鋼や等辺山形鋼を加工して補強リングを作成し、そこに主筋をUボルトで固定する方法です。

2.2.(5) 鉄筋工事 ー 杭基礎施工便覧(平成27年3月)(公社)日本道路協会

先述しましたが、この方法は「場所打ちコンクリート杭の鉄筋かごの無溶接工法 設計・施工に関するガイドライン」(一社)日本基礎建設協会で示された仕様に則った方法です。

計上する場合は、市場単価「鉄筋工」に”場所打ち杭用かご筋(無溶接工法)”の単価掲載があるため問題ありません。ただし、この市場単価では施工手間のみとなりますので、材料費を別途計上する必要があります。

材料費は『月刊 建設物価(一財)建設物価調査会』に補強リングの曲げ加工費や、穴あけ加工費、Uボルトの材料費の単価掲載がありますので、こちらより計上すればOKです。

なお、材料費を計上するにあたり下記の情報が必要になります。

・補強リングは 平鋼 or 等辺山形鋼
・補強リングの本数及び重量
・Uボルト用の穴あけ加工箇所数
・補強リング固定用Uボルトの個数
・軸方向鉄筋の重ね継手用Uボルトの個数
(重ね継手はかご筋が上杭・下杭の継杭となる場合にのみ必要となります)

これらの情報については設計の段階で拾われていない場合が大半かと思います。

数量が無い場合は数量拾い作業が必要です。

単価の掲載場所

補強リングなどの材料費は建設物価ではP.171付近に掲載されており、巻末から索引する場合は「無溶接工法用部材」と検索して頂ければ見つけることができます。

なお、手持ちの「月刊積算資料」には単価掲載はありませんでした。

(2)組立用の異形棒鋼に主筋を無溶接金具で固定する方法

組立用の異形棒鋼(もしくは平鋼や等辺山形鋼)の周りに軸方向鉄筋を配置し、無溶接金具で固定する方法です。

画像転載:KSクルリン施工の手引きよりKDタイプ ー 株式会社京都スペーサー
KSクルリン

※再生すると音が出ますので注意してください。

株式会社京都スペーサーの「KSクルリン」
(会社HP:http://www.kyosupe-group.com/product/2013/01/ks-4.html
(カタログPDF:http://www.kyosupe-group.com/product/document/pdf/ks-104_6.pdf

ゼン技研株式会社の「ゼスロック」
(会社HP:https://www.zen-g.co.jp/product_5zr.html
(カタログPDF:https://www.zen-g.co.jp/catalog/wc_05zr_206_181011.pdf

株式会社恵信工業の「KS工法」
(会社HP:https://www.keishin-k.co.jp/ks.html
(カタログPDF:https://www.keishin-k.co.jp/catalog.pdf

などがメジャーな製品として普及しています。

無溶接金具には様々な種類があり、組立用の異形棒鋼(もしくは平鋼や等辺山形鋼)に軸方向鉄筋を固定する金具の他にも、かご筋の座屈防止金具など様々な製品があります。

以下に、京都スペーサーのKSクルリンを例に製品例を挙げます。

・KSクルリン【軸方向鉄筋と組立筋固定用】
・ねじれ防止金具【軸方向鉄筋と組立筋固定用】
・KSクルリン(帯筋用)【軸方向鉄筋と帯筋固定用】
・スペーサー固定金具
・井桁筋固定金具
・軸方向鉄筋の重ね継手固定金具
・フープバンド【帯筋の重ね継手固定用】

かご筋組立ての施工費用については、Uボルトで固定する場合と同じく市場単価「鉄筋工」に”場所打ち杭用かご筋(無溶接工法)”の単価掲載があるため問題ありません。

なお、組立用に異形棒鋼を用いる場合は鉄筋材料に含めた形で計上する必要があります。

無溶接金具の使用個数については、標準的な目安が無いため正確な個数を想定するにはメーカーに問い合わせるしかありません。
また、無溶接金具を使用するまでもなく番線固定で十分な場合もあります。必ずしも全ての固定箇所における無溶接金具を計上する必要はありませんので注意してください。

単価の掲載場所

無溶接金具の単価については、令和2年2月現時点で以下の掲載があります。

『月刊 建設物価』(一財)建設物価調査会
・ゼン技研「ゼスロック」
・恵信工業「KS工法」

『月刊 積算資料別冊』(一財)経済調査会
・恵信工業「KS工法」【別冊版のみに記載】

なお、京都スペーサーの「KSクルリン」、ゼン技研の「ゼスロック」については(一財)経済調査会の「公表価格.com」に掲載があります。(参考URL:http://kohyo.kensetsu-plaza.com/search/price/H010010020035/

こちらについては、公表価格であるため積算に用いることはできません。
計上する場合は見積りを取って実勢価格を確認する必要がありますので注意してください。

ひと昔前は積算資料の別冊版に「KSクルリン」の単価掲載がありましたが、公表価格に移行したようです。
この辺は入れ替わりがあるようなので常に最新版で確認してください。

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無溶接工法について数量拾いをされないことが多い

場所打ち杭のかご筋については、無溶接工法を前提とした設計としなければならない一方、無溶接金具の種類・個数については設計委託の段階で明確に決められている事例は少ないかと思います。

これは、各発注主体の数量算出要領の元になっている、国土技術政策総合研究所から出ている資料である「土木工事数量算出要領(案)」に規定されていないためです。

無溶接金具については、メーカー各社で異なる製品を製造しており標準仕様が定められておりません。そのため、数量算出要領で使用個数について定めることができないのだと思われます。

無溶接金具の数量拾いについての一提案

発注者側で”とある製品を前提”とした無溶接金具の数量拾いをしてしまうと、製品指定に繋がってしまう可能性があるためできれば避けたいところです。

そこで、以下のような手順を踏んで見積りを取ってはいかがでしょうか。

(1)各メーカーに配筋図のみを提示し、見積り先メーカーの製品を使用した場合の必要個数についても明記するよう依頼した形で”参考見積り”を取る

(2)参考見積書より各製品を使用した場合の内訳を精査し、設計書に計上する製品を総合的に判断する。

(3)参考見積りの判断結果より、1製品に絞って規格・数量を指定した本見積りを徴収する。(単価掲載が物価資料にあるものである場合は、計上する際に物価資料に入れ替えて計上)

積算基準には、「見積りを徴収する場合は、形状寸法、品質、規格、数量及び納入場所、見積り有効期限等の条件を必ず提示し、(中略)」とあります。

そのため、本来、数量については見積りを徴収する際に指定する必要があります。

上記の方法に拠れば、本見積り依頼の際に数量を指定出来るため積算基準に沿った発注ができると思います。

どの無溶接工法を採用するのか、設計委託の際に業務内容に含めた形で契約するのも一つの手ではあります。
こちらの方法だと手間はかかりませんが、”製品指定”となるような図面が提出されないよう注意が必要です。

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帯鉄筋のフレア溶接について

通常、かご筋の帯鉄筋は両端をフック形状とします。これに対し、場所打ち杭の径がφ1000以下など小径になる場合は帯鉄筋のフックとトレミー管が干渉してしまい、トレミー管を下ろすことが出来なくなります。

このような問題に対しては、スパイラル筋や機械式継手の使用も考えられますが各発注主体の設計要領などでフレア溶接継手が容認されている場合は、フレア溶接継手とすることが多いかと思います。

ただし、フレア溶接は安定した品質が得られにくい溶接方法であり、断面減少を生じる恐れがあります。

そのため、フレア溶接継手とする場合は品質を担保するために”入念な施工管理”を前提として特例的な採用とすることが多いです。

施工管理方法については、『場所打ちコンクリート杭の鉄筋かご無溶接工法 設計・施工に関するガイドライン ー(一社)日本基礎建設協会』に「帯鉄筋のフレア溶接施工管理要領(案)」として詳しく掲載されています。

下記は、同書籍より具体的な施工管理内容を抜粋しました。
具体的な試験手順については同書籍に詳しく記載されておりますのでそちらをご確認ください。

○施工前試験の実施
溶接工ごと、また鉄筋径ごとに以下の試験を行う
・外観及び形状寸法試験
・引張試験
・断面マクロ試験

○施工後試験の実施
溶接作業完了後、監督官の立会のもと施工後試験を実施する
・外観検査及び形状寸法検査
・断面寸法試験

帯鉄筋のフックとトレミー管の施工可能の可否の判断基準は、『場所打ちコンクリート杭の鉄筋かご無溶接工法 設計・施工に関するガイドライン(一社)日本基礎建設協会』に詳しく記載されていますので、こちらを読んでください。
杭径と掘削深度ごとに施工可能な範囲が明確に記載されています。

ただ、実際は「発注はフック形状で発注。実施工においては工事受注者からの協議によりフレア溶接で施工。こちらについては変更設計とせず施工承諾扱い」ということも多いかと思います。

なお、設計でフレア溶接継手とする場合は市場単価には含まれておりませんので別途計上が必要です。

フレア溶接費用については見積りによって別途計上するのが一般的かと思います。

(株)恵信工業のKS工法では突合せ圧接による「環状型フープ筋(製品名:ピタットフープ)」を使用します。
こちらであれば工場で加工された工場製品を購入する形になるため、品質証明書類の確認で済みます。

したがって、フレア溶接のような入念な現場管理は不要で良いと思います。

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最後に

以上で、無溶接工法の積算についての記事を終わります。

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ここまで記事を読んでくださってありがとうございました!

それでは!

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