【積算の基礎知識】機械損料とは【換算値損料】

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積算の基礎知識

機械損料について詳しくまとめました。

機械損料は積算を行うに当たって必要となる基礎知識です。

損料を構成する計算式を暗記する必要はありません。

ですが、工事発注をする立場の人間であれば普段計上している換算値損料がどのように構成されているのか、大まかに理解しておく程度の知識は最低限必要です。

この記事を読んで頂ければ、発注に必要な機械損料についての知識を体系的に理解することができます。ぜひ最後まで読んで頂けますと幸いです。

積算する上での注意点を以下にまとめます。

・運転歩掛内で使用するのは換算値損料
換算値損料=運転損料+供用損料
・運転歩掛内で、運転損料(9)欄を使用するのは誤り
・機械の現場内待機時の損料に(11)欄を計上するのは判断が分かれる

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機械損料とは

機械損料とは、土木請負工事費の積算に用いる機械経費のうちの一部です。その内訳は、償却費維持修理費管理費からなり当該現場で分担すべき費用額について、工事価格の中に計上されます。

用語や算定方法については、昭和49年3月15日に当時の建設省から通達された「請負工事機械経費積算要領」で定義されました。最新版については下記で読むことができます。

請負工事機械経費積算要領(建設省機発第四四号)1974年3月15日(最終改正日:2018年3月20日国総公第78号)(https://www.mlit.go.jp/notice/noticedata/sgml/012/74000356/74000356.html

ただし、通達文章を読み込んでも機械損料は簡単には理解できません。

これから説明する5つの用語「償却費」「維持修理費」「管理費」「運転損料」「供用損料」を順に読むことで体系的に理解することができます。

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3つの費目と2つの損料

土木積算で使用する機械損料は2つの損料(運転損料と供用損料)を統合したものです。
以降、分かりやすいよう運転損料を、供用損料をに色分けして示します。

機械損料 = 運転損料 + 供用損料

機械損料は、3つの費目で構成されており、
運転損料供用損料という2つの損料に分けることができます。

請負工事機械経費積算要領(建設省機発第四四号)1974年3月15日(最終改正日:2018年3月20日国総公第78号)を元に作成

2つの損料が統合されたものを換算値損料と呼ぶこともあります。
なお、機械損料 = 換算値損料との理解で問題ありません。ほぼ同義です。

3つの費目:「償却費」「維持修理費」「管理費」

請負工事機械経費積算要領(建設省機発第四四号)では以下のように定義されています。

償却費
機械の使用又は経年による価値の減価額をいう。

維持修理費
機械の効用を持続するために必要な整備及び修理の費用で、運転経費以外のものをいう。

管理費
機械の保有に伴い必要となる公租公課、保険料、格納保管(これに要する要員を含む)等の経費をいう。

3つの費目の組み合わせで2つの損料(運転損料供用損料)が構成されています。まずは、この3+2の用語を体系的に理解するのが先です。
分からないままですと、建設機械等損料表((一社)日本建設機械施工協会)などに記載されている文章を読んでも内容は理解できないと思います。

「償却費」は運転損料と供用損料どちらにも含まれる

3つの費目のうち、償却費運転損料供用損料のどちらにも含まれます。

償却費 = (基礎価格 × 償却費率)
償却費率 = (1ー 残存率)

※残存率とは、標準使用年数を使用されたのち、処分される際に残る経済価値を基礎価格に対する割合で表したものです。

償却費は損料の中で大きな割合を占める費用です。

償却費は特に大事なので、計算例を示します。
標準型(排対3次)山積0.8m3級のバックホウで償却費を計算した例です。

基礎価格:16,000,000円(1600万円)
残存率:13%(標準使用年数9年)

償却費 = 16,000,000×(1-13/100))
    = 13,920,000円

つまり、1600万円で購入したバックホウが標準使用年数9年間の機械使用で13,920,000円分の価値が失われるということです。
これを専門用語で減価償却と言います。

ここまで計算できれば後は簡単です。

標準使用年数は9年間なので1年間の減価償却額は・・・
 13,920,000 ÷ 9 = 1,546,666円

年間標準運転時間が690時間とすると1時間の減価償却額は・・・
 1,546,666 ÷ 690 = 2,242円

年間標準供用日数が180日だとすると1供用日の減価償却額は・・・
 1,546,666 ÷ 180 = 8,593円

償却費だけで考えるとこのような計算結果となります。実際には、ここに整備修理費や税金、保険など絡んできますが、それらは運転損料供用損料を計算する過程で含まれることになります。

「維持修理費」は運転損料に含まれる

維持修理費は「機械が稼働することによって発生する費用」です。
したがって、全額を運転損料に含みます。

「管理費」は供用損料に含まれる

管理費は「機械を保有していることによって発生する費用」です。
したがって、全額を供用損料に含みます。

ここから先は、運転損料供用損料をそれぞれ算出して統合し、機械損料(換算値損料)を算出するまでの説明です。

2つの損料:「運転損料」「供用損料」

再度の確認ですが運転損料供用損料は、下表の関係性になっています。

運転損料
機械を運転することによって発生する費用

供用損料
機械を保有することによって発生する費用

例えば、故障した場合の修理費用(維持修理費)は運転損料ですし、保険料や税金(管理費)は供用損料です。ここに、それぞれに償却費が半額ずつ上乗せされるイメージです。

運転損料:機械の”運転”で発生する費用(9)欄

請負工事機械経費積算要領(建設省機発第四四号)では明確に定義されてはいませんが、
運転損料とは機械を運転することによって発生する費用のことです。

運転損料 = 償却費のうち半分+維持修理費

運転損料は、建設機械等損料表((一社)日本建設機械施工協会)でいう(9)欄にあたります。

積算に不慣れな方が運転歩掛を作成する際、(9)欄の運転損料を計上しようと試みる場合がありますが、絶対にやめてください。
運転歩掛に計上するのは換算値損料です。

供用損料:機械の”保有”で発生する費用(11)欄

請負工事機械経費積算要領(建設省機発第四四号)では明確に定義されてはいませんが、
供用損料とは機械を保有することによって発生する費用のことです。

供用損料 = 償却費のうち半分+管理費

供用損料は、建設機械等損料表((一社)日本建設機械施工協会)でいう(11)欄にあたります。

現場の都合上、機械の待機が20日程度発生するんだけど、これはどうやって積算したらいいのか・・・・。

機械質量が20t以下の場合は日々回送費は運搬費率分に含まれますので、再度回送するのか現場内待機するのかは施工者の任意ということで別途計上不要だと思います。

一方、機械質量が20tを超えるような機械や、分解組立輸送が必要な機械の待機が長期間発生してしまう場合は、必要に応じて見積もりを取るなど待機料を計上するのが適切だと思います。この場合、分解組立輸送費が必要な機械であれば、分解組立輸送費 VS 待機料 も忘れずに経済比較した方が良いです。

待機料の計上としては、待機日数分の供用損料(11欄)計上が一見良さそうに見えますが、「償却費が半額分しか入っていない」ことから待機中の損料として妥当なのかは判断が分かれます。
内訳のうちの償却費を2倍として手計算、つまり、待機期間中の償却費全額を発注者側が負担するなど選択肢はありますが、そうすると今度は「待機中は運転してないんだからそこまで価値は償却されないのでは」「供用損料をすべて間接費対象にするのは過大ではないか」という問題が出てきます。

まずは受発注者間で機械損料の考え方をよく読み・理解し、妥協点を見つけてゆく必要があります。

機械損料の構成図

請負工事機械経費積算要領(建設省機発第四四号)1974年3月15日(最終改正日:2018年3月20日国総公第78号)を元に作成

再度、機械損料の構成図を掲載します。
初めに見たときよりも、体系的な理解が進んでいれば幸いです。

どうして償却費を半分ずつとするのか

「現場で使っていても、車庫に入っていても償却されるだろう。」

ということのようです。考えについては理解できますが、
「運転損料と供用損料の償却割合がなぜ50:50なのか」詳しい理由は不明です。

恐らく、換算値損料を算出するための割り切りなのかと思われますが、「50:50」とした明確な根拠はいまいち分かりません。

建設機械施工協会の研修に参加した際に、講師の方に質問しましたが
「昔、大学の先生方などが話し合って決めました」とのことでした。

もし、経緯についてご存知の方がいらっしゃれば教えてください。

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換算値損料とは

換算値損料とは、運転損料供用損料が統合されたものです。

機械の稼働条件に応じて運転損料供用損料を毎回個別に算出し、それぞれ足し合わせるのは大変です。

これを簡単に計算するため、土木積算では”標準”とされる運転時間を定義した上で計算済みの統合損料をあらかじめ用意しておく方法が取られています。

この統合済みの損料が換算値損料です。

換算値損料は、建設機械等損料表に記載の損料単価を用いることが通例になっています。

2つの損料を統合して一つにまとめることで、運転歩掛内で扱いやすくなるメリットもあります。

換算値損料=運転損料と供用損料を統合したもの

換算値損料をまとめると以下のようになります。

(1)換算値損損料は、運転損料供用損料が式の中で統合されている

(2)損料単位は
  (13)欄 は 「時間」当たり損料
  (15)欄 は 「供用日」当たり損料

(3)計算式は
  (13)欄 は( 年間運転損料 + 年間供用損料 )÷ 年間標準運転時間(3)欄
  (15)欄 は( 年間運転損料 + 年間供用損料 )÷ 年間標準供用日数(5)欄

(3)運転状態が標準的でない場合は修正計算をする必要がある。

詳しい計算式については建設機械等損料表を参照してください。
(13)欄は施工単位が「時間」の運転歩掛
(15)欄は施工単位が 「」 の運転歩掛
でそれぞれ使用します。

稼働条件が”標準”の場合は補正なしでそのまま使える

換算値損料は機械の稼働条件が”標準”であれば補正なしで積算に使用することができます。

稼働条件が標準の定義

機械の稼働時間Tが 0.8≦T≦1.2 これに収まるなら標準とみなします。

1.建設機械の供用日当たり運転時間が標準と著しく相違すると認められる工事の発注に当たっては、建設機械等損料算定表に示す標準の供用日当たり運転時間の補正を行うこと
2.供用日当たり運転時間が標準と著しく相違する場合とは
  t/t0≦0.8 または t/t0≧1.2
  (但しtは当該工事の、t0は損料表上の供用日当たり運転時間)の場合を考えること。

建設機械損料の算定について ー 建設省機発第65号 昭和55年2月22日

つまり、機械の稼働時間が±20%以内と予想される場合は、作業条件が”標準”と著しい相違があるとは認められないため換算値損料の補正はしません。

機械損料の補正

機械の稼働が標準でない場合は、機械損料の補正を行います

稼働が標準でない場合とは「供用日当たり運転時間」が、損料表の計算値と実工事との間で±20%以上異なる場合です

【 機械損料の補正の要否のチェック方法 】

1)建設機械等損料表で「供用日当たりの運転時間(t0)」を計算
 t0= 年間標準運転時間(3)欄 ÷ 年間標準供用日数(5)欄

2)実際の工事における「供用日当たりの運転時間(t)」を計算
 t =  実際の機械の運転時間 ÷ 実際の機械の供用日数

3)t / t0 を比較
 0.8 ≦(t / t0)≦ 1.2 であれば補正は不要
 上記係数内に収まらない場合は補正が必要

運転時間当たり換算値損料(13)欄の修正計算方法は、
 運転時間当たり損料(9)欄 + 供用日当たり損料(11)欄 ÷ 供用日当たり運転時間 (t)
つまり、修正計算するのは換算値損料のうち供用損料のみです。

供用日当たり換算値損料(15)欄の修正計算方法は、
 運転時間当たり損料(9)欄 × 供用日当たり運転時間 (t) + 供用日当たり損料(11)欄
つまり、修正計算するの換算値損料のうち運転損料のみです。

建設機械等損料表などに記載されている実際の計算式はもう少しややこしく書いてありますが、シンプルに書くと上記の計算を行っています。
細かい計算式まで理解しても実務ではあまり役に立ちません。体系的な計算式を理解しておくだけで十分です。

豪雪地域補正

豪雪地域では降雪・積雪によって建設機械の年間稼働率が低下します。標準の損料率をそのまま用いると不適切になるため補正した損料を使用します。

対象地域:北海道及びその他の豪雪地域
損料補正対象:供用損料(運転損料は対象外)
補正率:北海道(全域)+15% その他豪雪地域 +10%
除外事項:除雪機械など豪雪地域での使用が状態であるものは除外

詳しい計算式については建設機械等損料表を参照してください。
補正するのは供用損料のみですので注意してください。

機械の輸送費の算定元となる機械の所在場所が、豪雪措置対策特別法(昭和37年法律第73号)第2条第1項に規定された地域である場合に該当します。主に北海道と東北と日本海側の都道府県が該当します。
参考先URL:豪雪地帯及び特別豪雪地帯指定図 ー 全国積雪寒冷地帯振興協議会(http://www.sekkankyo.org/zenkoku.htm

岩石土工補正

バックホウやトラクタショベルなどを岩石土工作業に使用する場合、作業条件が過酷なため機械各部の摩耗によって維持修理費が増加します。標準の損料率をそのまま用いると不適切になるため補正した損料を使用します。

対象機械:岩石作業に使用するブルドーザ(リッパ装置付を除く)、ショベル系掘削機、トラクタショベル及びダンプトラック(建設専用ダンプトラックを除く)
損料補正対象:運転損料(供用損料は対象外)
補正率:+25%割増

詳しい計算式については建設機械等損料表を参照してください。
補正するのは運転損料のみですので注意してください。

交替制作業補正

1台の機械を2交替制や3交代制で使用すると、機械の損耗・劣化が激しく、維持修理費が増大するため補正を行います。

補正方法については、(A)(B)の2通りのパターンがあります。

【 Aパターン 】
対象:損料が運転日単位で定まっている機械 → 運転損料を補正
 (例)発動発電機など
 2交替制: +50%
 3交替制: +100%

【 Bパターン 】
対象:損料が供用日単位で定まっている機械 → 供用損料を補正
 (例)鋼橋・PC橋架設用仮設設備機器など
 2交替制: +25%
 3交替制: +50%

対象になる損料は以下で覚えると簡単です。
(8)欄ならびに(9)欄に(日)の添書き → Aパターン
(11)欄と(15)欄が同額 → Bパターン
通常の重機は運転歩掛内の運転時間をそのまま変えれば交替制作業を表現可能であるため、一部の損料に限られる補正方法です。

機械損料の供用日当たり運転時間の補正はどのような時に行われるか

現代の土木積算では一般的な施工歩掛の施工パッケージ化が進んだことや、施工実態がリース機械で施工される事例が増えたことにより賃料への置き換えが進んでいる背景から、一般土木分野では手計算で機械損料の補正を行う事例はほぼ無いと思います。

ただ、今でも機械損料の補正が行われる分野はあります。

どのような分野で機械損料の補正が行われるかというと、以下のような分野です。

・機械の基礎価格が高額で、工事費の中で機械損料が大きな割合を占める分野

・現場条件に応じた特殊工法が乱立し、換算値損料が定まらない分野

具体的には、下水道(推進)と港湾関連工事のうち一部が該当すると思います。
さらに機械損料が高額になる大口径推進やフローティングクレーン、リープヘル社の大型クローラクレーンなどは、損料として計算しているのか個別見積もり対応しているのか両方考えられますが、管理人は未経験のため詳しくは不明です。分かる方おられましたら情報提供をお願いします。

なぜ換算値損料は単位が「供用日」なのか

運転歩掛が「日」のものは、機械損料の単位も「日」にした方が使いやすいんじゃないの?

そう思うのは分かりますが、もしも日当たり8時間を超えて作業する運転歩掛を作成する時は表現ができません。
例に示すと、仮に12時間作業する日当たりの運転歩掛では内訳が1.5日になってしまいますよね。単位の次元が揃わないのは混乱の元なので、便宜上「供用日」とした方が都合が良いのです。

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最後に

以上で、土木積算で使用する機械損料のまとめ記事を終わります。

今回の記事作成に当たっては、よくわかる建設機械と損料 2018(H30 建設機械等損料表 解説書)ー(一社)日本建設機械施工協会 を参考にしました。

正直、この本も文字だらけであまり親切な書き方はされていませんが、市販されている本にはこの他に詳しい専門書はありませんので必要な方は購入されると良いと思います。
建設機械の損料体系に対応する形で、機械の写真なども多数掲載されていますので参考になると思います。

また、(一社)日本建設機械施工協会では例年7月に「建設機械等損料、橋梁架設工事、大口径岩盤削孔工法の積算」に関する講習会が開催されます。講習会のプログラム内に機械損料についての説明があり、専門家の方から講習を受けることができます。
例年だと4月〜5月に講習会の案内が出ますので、興味のある方は参加されると良いと思います。
講習会場が東京タワーの目の前ですので、ぜひ登られると良いと思います。建設当時の資料展示なども多数ありますのでおすすめです。

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ここまで記事を読んでくださってありがとうございました!

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土木積算.comの管理人です。
発注者支援業界に勤務。
公共工事の円滑な事業執行をサポートするため、積算・施工管理の分野で毎日頑張っています。

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