損料と賃料の使い分け

積算の基礎知識
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積算する際の損料と賃料の使い分け方法についてまとめました。

工事積算するにあたっては不可欠となる項目ですので、しっかりと理解しておく必要があります。

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運転費(運転歩掛)の内訳

現在の積算基準は施工パッケージ化されたものが多く内訳が分かりにくくなっていますが、建設機械を用いた運転費の考え方は昔から変わっていません。

労務費 + 機械経費 + 燃料費

運転費の内訳は、下記の3項目から構成されます。

労務費
=機械を動かす運転手です。
(現場では「オペさん(オペレーターの略)」と呼ばれたりします)

機械経費
=建設機械の費用です。
クレーンやバックホウやブルドーザなどの建設機械、手持ち工具、発電機、コンプレッサー、仮設プラント、橋梁架設設備などがこれに該当します。

燃料費
=建設機械を稼働させるのに必要となる燃料費用です。
機械によって軽油、レギュラーガソリンなどがあります。
(ベテランは燃料費のことを”あぶらは〜”と言ったりします)

大事なことなので繰り返します。

機械の運転費は

労務費

機械経費

燃料費

3点セットで構成されています。

工事積算に必要な基礎知識ですので覚えておいてください。

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機械経費=損料と賃料の必ずどちらか

前述した運転費中の機械経費についてですが、
積算するにあたり覚えておかなければならないことがあります。

機械経費には損料賃料という2つの考え方があります。

この損料と賃料の使い分け方が今回のテーマです。

なんだか、めんどくさそうだなぁ・・・

難しく感じるかもしれませんが、一度理解できれば迷わなくなります

損料

損料とは施工業者が保有している機械もしくは、施工業者が維持修理又は管理をしている機械の使用にかかる費用です。なお、リース契約もこちらに含まれます。

ここで、損料について、わかりやすく書くと

単価 = 購入費用 ÷ 価値がなくなるまで使った期間

となります。

専門用語で減価償却というのですが、これを単価に表したものが損料です。

土木積算に用いる単価は(一社)日本建設機械施工協会発行の『建設機械等損料表』に記載の単価を用いることが通例になっています。

なお、損料と呼んでいる単価は正確には換算値損料です。

機械が動いている間にかかる費用=運転損料
機械が動いていない間にかかる費用=供用損料

この2つを組み合わせたものが換算値損料です。

損料については、以下の記事で詳しくまとめました。

賃料

一方で、賃料とは借りて使用する機械に対して費用です。

例えば、「コマツ」「アクティオ」「ニッケン」「カナモト」など
さまざまなリース会社やレンタル会社があります。
これらより建設機械をレンタルして使用することを想定した費用です。

単価は、(一財)建設物価調査会の『建設物価』や(一財)経済調査会の『積算資料』に記載されている単価を用います。

補足ですが、ラフテレーンクレーンやアスファルトフィニッシャなどオペ付き(運転手付き)でレンタル契約する場合もこれに該当します。

オペ付きでレンタル契約することをチャーターといいます。

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どう使い分ければいいの?

実施工においては現場ごとに条件が異なるため、一概に決まりません。
会社規模や工事規模によって状況は変わりますし、実行予算の組み方も100人いたら100通りです。

一方で公共工事発注においては積算基準で明確に決められています。
もし、決まっていなければ積算する担当者ごとに工事の予定価格が変わってしまいます。

それでは困りますので、「損料」「賃料」どちらの単価を使って積算すべきかは積算基準に個別に定められています。

損料と賃料の使い分け方

答えは簡単です。
積算基準の注意書き欄に注目してください。

機械経費についての積算基準上のルールは、
なにも書いていない = 損料
〜は賃料とする
などの記載 = 賃料

が基本ルールです。

え!?それだけでいいの?

いくつか施工内訳を見てもらえばわかると思いますが、「〜については賃料とする」などと記載がないものはすべて損料によって構成されています。
安心してください。

ただし、例外あり

一方で、工法協会などの協会が提示している歩掛を用いる場合は注意が必要です。

各協会ごとで機械経費に関しての考え方が違うことがあるのでよく読んでください。

協会が発信する資料は損料と賃料の使い分けが曖昧にされている場合があります
類似工種であっても積算基準と違うことがあるのでよく読んでください。

不明な点があれば各工法協会に問い合わせた方が無難です。
なにも資料には記載されていないのに「賃料です」と回答される場合もあります。
積算基準のように、「なにも書いていないから損料だろ」と解釈するのは危険です。

気を付けてくださいね。

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特殊な事例 〜移動式クレーンの場合〜

移動式クレーンの機械経費を出すに当たっては「損料」と「賃料」で考え方が異なるので注意が必要です。

具体的には賃料では、単価に運転手や燃料費が含まれている場合があります。

損料の場合

○ラフテレーンクレーン

・機械経費のみの単価。燃料費と運転手は別途計上する必要がある。
・実施工の場面ではリース契約で使われている場面が多く、賃料で積算されることが多い。

○クローラクレーン

・機械経費のみの単価。燃料費と運転手は別途計上する必要がる。

賃料の場合

○ラフテレーンクレーン

・単価に燃料費と運転手が含まれる。

○クローラクレーン

・単価に運転手が含まれる。燃料費は別途計上する必要がある。

なんだか、ややこしいな・・・

賃料だけが特殊です。赤字で示した部分に注意。

二重計上しないよう注意が必要となります。

補足

移動式クレーンの賃料単価の取り扱い方法については、(一財)建設物価調査会の『建設物価』もしくは(一財)経済調査会の『積算資料』の建設機械賃貸料金の注意書きに詳しく書かれていますので、初めて計上する場合は一読した方が良いです。

積算ソフトに頼らずに自分で移動式クレーンの経費を賃料で積み上げる場合は、「気をつけて計上する」しかありません。

運転手や燃料費を二重計上しないように注意してください。

なお、単価自体は一般認識として、自社保有している機械の単価である損料の方が安いと思われがちですが、比べてみると損料の方が高かったということも十分にあり得ます。

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最後に

以上が土木工事積算をする際の損料と賃料の使い分けについてのまとめです。

積算ソフトに従ってそのまま計上できる現場条件であるならば特に問題にならないかもしれませんが、「積算基準ではクローラクレーンになっているが、ラフテレーンクレーンで施工した場合の見積もりを出してくれ。施工内訳も付けてね。」などと言われて見積もりを作成する場合もあるかと思います。

そのような場合に、このまとめを参考にしていただければ幸いです。

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ここまで記事を読んでくださってありがとうございました!

それでは!

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