土砂運搬のまとめ

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土工

今回は、土木積算する際に不可欠な土砂運搬についてまとめたいと思います。

経験の浅い方にとっては残土量の取り扱いなど実際のシュミレーション方式で分かりやすく解説してますので、有益な情報だと思います。一度、目を通して頂くだけで積算で土砂運搬を扱う時の間違いが少なくなると思います。

土木積算の経験が豊富なベテランの方とっては当たり前のことが多いかと思いますが、もしかしたら新たな気付きが得られるかもしれません。

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積算する上での注意事項

運搬土量は常に「地山土量」

土木工事標準積算基準書(共通編)の土砂等運搬を計上する際の主な注意点です。

(1)運搬距離は片道であり、往路と復路が異なるときは、平均値とする。
(2)DID区間(DID=人工集中地区)の走行の有無を確認する
(3)運搬距離が60kmを超える場合は別途考慮する
(4)運搬土量は地山土量とする

この中でも特に気を付けなければならないのが(4)運搬土量は地山土量とする です。

地山土量の定義について再確認します。
『地山の土量』とは土量変化率の項で一番初めに出てくる”3つの状態の土量”のうちの一つです。

地山の土量・・・掘削すべき土量
ほぐした土量・・・運搬すべき土量
締固め後の土量・・・出来上がりの盛土量

つまり土砂運搬で計上する土量は「掘削すべき土量」を計上することになります。
土砂は掘削された瞬間から”ほぐし状態”となり、運搬中のダンプトラックの荷台でも当然”ほぐし状態”なのですが、積算で計上する際はこの考えを一切捨てた方が理解が早いです。

ほぐし状態の土量の地山土量への換算

物価本に掲載されている道路用砕石や各地域の再生砂、改良土などの単価は”ほぐし状態”とされていることが多いかと思います。

ほぐした土量は、以下の計算式で「地山の土量」に直す必要があります。

ほぐした土量÷土量変化率 L=地山の土量 
変化率Lは粘性土を運搬する場合以外はL=1.2であることが大半です。詳しくは積算基準を参照してください。)

土木積算作業をする中で、発生土・流用土・購入土の土量フローチャート図を作ることがあると思いますが、この際は”全て地山の土量に直して集計する”ようにすると土砂運搬と数量がリンクするので分かりやすくなります。

土砂積載量の考え方

ダンプトラック1台当たりの土砂積載量については積算基準では明確に規定されていません。これは、以下の事柄が関係しています。

(1)ダンプトラックの1台当たりの最大積載重量が車両によって異なること
(2)土砂の単位体積重量が土質によって変化すること

実際に、具体例を示しながら説明したいと思います。

(1)ダンプトラックの1台当たりの積載重量

積算基準では土砂等発生現場が”標準”の土砂運搬の代表機労材規格は「ダンプトラック[オンロード・ディーゼル]10t積級」とされています。通称10tダンプと呼びますが、実際の最大積載量は9t〜11tと前後します。

市場に出回っている10t積級のダンプトラックを整理します。
ダンプトラックは普通自動車とは異なり、以下の特徴があります。

エンジンや車体をつくるシャーシメーカー
(いすゞ、日野、三菱ふそう、UDトラックス)

荷台部分を架装する架装メーカー
(新明和工業、極東開発工業)

が分かれており、両メーカーから手が入った完成車を購入します。

ベース車や荷台の大きさなどによって様々なタイプが市場に存在し、最大積載量を定量化することができません。

参考として、10t積級ダンプトラックで最も標準的(総重量20tで標準ボディ)な具体例をいすゞ社のカタログから転載します。

【いすゞ】(ISUZU:GIGA(大型ダンプ)完成営業車
ギガ(車型:CXZ77CT-KJ-M 5A-S)
架装メーカー:新明和工業
最大積載量:9,400kg
ギガ(車型:CXZ77CT-KJ-M 5A-S)
架装メーカー:極東開発工業
最大積載量:9,300kg

ダンプトラックについての詳しい情報は、メーカーや中古トラックディーラーのサイトを見てもらった方が詳しい情報が手に入ると思います。

参考サイト:トラック王国ジャーナル

(2)土砂の単位体積重量が土質によって変化すること

運搬土砂の単位体積重量は土質によって変化します。粒度や含水比によって千差万別ですので、単位体積重量を定めることができません。

積算のよりどころとなる資料としては、各地方整備局が発行する数量算出要領の元になっている資料で、国土技術政策総合研究所から出ている資料に「土木工事数量算出要領(案)」があります。以下に引用掲載します。

1-1-4 令和2年度(4月版)土 木 工 事 数 量 算 出 要 領(案) ー 国土交通省

一方で、このように注意書がされています。

数量計算に用いる1m3当り単位体積質量は、表−4が一般的であるが積算に用いる単価と合致するよう充分留意されたい。

1-1-4 令和2年度(4月版)土 木 工 事 数 量 算 出 要 領(案) ー 国土交通省

ざっくり目安として考えると、
ダンプトラックの最大積載重量:9,500kg/台
土砂の単位体積重量:1,800kg/m3 と仮定すると

9,500 ÷ 1,800 = 5.278 ∴ 5.3m3/台
と計算できます。
条件によって変動しますが目安として「運搬する際の地山土量」はこの前後の値になりそうです。

あくまで目安です。
よく考えて、自己責任で使ってください。

現場管理する上での注意事項

現場管理をする上で、もしも地山状態の土量が不明な残土がある場合は特に注意してください。
土砂運搬は「地山の土量」で計上することになりますが、前述の「1台当たりの土砂積載量(m3)が明確に定まらない」ことにより、ダンプトラックの運搬台数から地山の土量を換算することができません。

ここで、分かりやすいように工事受注者さんとのやりとり例をシュミレーションしてみます。

▲▲市<br>工事監督員
▲▲市
工事監督員

〇〇組さん。いつもご苦労さまです。
現場から2kmくらい離れたところにいろいろな工事から出た残土を持ちこんでる▲▲市の管理地があるのですが、▲▲市で進めている総合運動公園の造成工事が最盛期なのでそっちのヤードに運んでもらえないでしょうか。もし可能でしたら指示書出しますので。

〇〇組<br>現場代理人
〇〇組
現場代理人

分かりました。さっそく手配します。

〜 指示書により土砂を積込運搬作業 〜
〜   3週間後、〇〇組さん来訪  〜

〇〇組<br>現場代理人
〇〇組
現場代理人

作業終わりました。1日5台で4回転、10日間作業したので合計で200台のダンプ運搬がありました。うちの会社では過去の経験から地山5.5m3/台で計算しますので、200×5.5で1,100m3 ですね。したがいまして1,100m3の掘削と土砂運搬で精算お願いします。

▲▲市<br>工事監督員
▲▲市
工事監督員

ありがとうございました。
書類整理して課内で手続きしますので、ちょっと待っててください。

〜 課長に関係書類を提出 〜

▲▲市<br>工事監督員
▲▲市
工事監督員

課長、総合運動公園のヤードに土砂運搬した件の工事書類を整理しました。確認をお願いします。

▲▲市<br>建設課長
▲▲市
建設課長

わかりました。ご苦労様。

▲▲市<br>建設課長
▲▲市
建設課長

・・・・・・。

▲▲市<br>建設課長
▲▲市
建設課長

■■さん。ちょっといいかな?
この運搬土量はどうやって出したの?

▲▲市<br>工事監督員
▲▲市
工事監督員

〇〇組さんの経験からです。

▲▲市<br>建設課長
▲▲市
建設課長

そうでしたか。〇〇組さんの経験ってだけじゃ私は判子押せないな。

▲▲市<br>建設課長
▲▲市
建設課長

■■さん、ちょっと聞いて欲しいんだけど、例えば他の工事業者さんに「うちの会社は5m3/台で計算してる」という工事業者さんがいたらどうしますか。

▲▲市<br>工事監督員
▲▲市
工事監督員

えーと、200台が5m3/台なので運搬土量は地山で1,000m3・・・。
そちらの方が安くなりますので、そちらの工事業者さんに頼むと思います・・・。

▲▲市<br>建設課長
▲▲市
建設課長

さすが■■さん、計算が早いですね。そうですよね。
運搬土量については再検討して書類を再提出してください。

▲▲市<br>工事監督員
▲▲市
工事監督員

分かりました。申し訳ありませんでした。

〜 〇〇組さんに電話〜

▲▲市<br>工事監督員
▲▲市
工事監督員

もしもし!〇〇組さん!土砂運搬してもらった土って、今どうなってますか!?

〇〇組<br>現場代理人
〇〇組
現場代理人

え?造成工事の会社さんが運んだそばから造成盛土していたので、残ってないですよ。

▲▲市<br>工事監督員
▲▲市
工事監督員

着手前の写真からなんとか土量分かりませんか!?

〇〇組<br>現場代理人
〇〇組
現場代理人

土量が知りたいんですか?もちろん着手前写真はありますが、土量出せる写真はないですよ。

▲▲市<br>工事監督員
▲▲市
工事監督員

そ、そうですか。
(造成工事の会社に聞いてみるか)

〜造成盛土工事をしている●●建設会社に電話〜

▲▲市<br>工事監督員
▲▲市
工事監督員

●●建設会社さん、突然の連絡すみません!そちらの工事で○月○日〜○月○日の間に造成した盛土量って分かりますか?

●●建設会社<br>現場担当
●●建設会社
現場担当

ちょっと、調べてみますね。お待ちください。

●●建設会社<br>現場担当
●●建設会社
現場担当

え〜と、この現場はICT土工で施工してますので3次元マッピングデータの履歴から、その期間の差分で土量を出せますがそれでよろしいですか?

▲▲市<br>工事監督員
▲▲市
工事監督員

助かります。お願いします。
(よかった。助かった。)

●●建設会社<br>現場担当
●●建設会社
現場担当

その期間の造成盛土量は900m3ですね。

▲▲市<br>工事監督員
▲▲市
工事監督員

分かりました。ありがとうございました。誠にお手数をお掛けして申し訳ないのですが、その資料をこちらの工事資料に使いたいので、手配頂けないでしょうか。

●●建設会社<br>現場担当
●●建設会社
現場担当

・・・わかりました。

〜 再度、〇〇組さんに電話〜

▲▲市<br>工事監督員
▲▲市
工事監督員

〇〇組さん、造成工事している●●建設会社に聞いてみたら、土砂運搬していた期間の造成盛土量が900m3だそうです。それを締固めた後の土量とすると、地山土量が900m3÷0.9(変化率C)=1,000m3なのでこれを根拠に精算させて頂きたいのですが・・・。

〇〇組<br>現場代理人
〇〇組
現場代理人

・・・わかりました。
(会社に報告していた金額から減ってしまうな。まぁ、100m3なら仕方ないか。)

よかったですね。今回は、造成盛土をしていた●●建設会社がICT土工で施工していたおかげで土砂運搬量の根拠資料とすることができました。

このように、現場管理をする上でもしも地山状態の土量が不明な残土がある場合は注意してください。
土砂運搬は「地山の土量」で計上することになりますが、前述の「1台当たりの土砂積載量(m3)が明確に定まらない」ことにより、ダンプトラックの運搬台数から地山の土量に換算することができません。

残土などについては、枡立てして土量算出した上で土砂運搬をすればこのような事態は防げます。土砂運搬を開始されてしまう前に「残土搬出前に監督員指示で段階確認を実施します。」と指示しておけば確実です。

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運搬距離の出し方

DIDの有無

DIDの有無とは人工集中地区(DID地区)の通過が「有る」「無い」かということです。

DID地区とは、総務省統計局国勢調査による地域別人工密度が4,000人/km2以上でその全体が5,000人以上になっている地区のことを言います。

国土地理院のホームページより参照できますので、リンクを貼っておきます。
国土交通省国土地理院 人工集中地区 平成27年度(https://www.gsi.go.jp/chizujoho/h27did.html

国勢調査は5年ごとに実施され、前回は平成27年度でした。令和2年度の国勢調査でDID地区についても更新があると思われます。

都心部の工事や田舎の工事ではなにも考えずに積算することができると思いますが、DID地区の通過の有無の確認に悩まれている方も多いのではないでしょうか。

大型車が通れるルートなのか

土砂運搬に限りませんが、積算で検討している運搬車両に見合ったルート選択をする必要があります。重量制限や高さ制限によって通行できないルートを選定しないように注意しましょう。
スクールゾーンなど時間帯によっては通行規制がかかる道路もあります。現場の運搬条件と異なる積算をしないように注意が必要です。

また、積算基準では『運搬距離は片道であり、往路と復路が異なるときは、平均値とする。』とあります。例えば

この現場の搬入口に面した道路は、通行量が多いから常に左折で進入して左折で退場するだろうな。

などという時は、その実際の運搬ルートの往路復路の平均値となります。

大型車両は現場搬入口から左折退場する際、対向車線にはみ出さなければ曲がれない場合があります。現場条件をよく勘案して、適切な交通誘導警備員の配置計画をしてください。

建設物価Mapサービスの紹介

ここではサイト管理者が使っていておすすめしたいサービスがありますので紹介したいと思います。

購入土の検討やコンクリート殻の再資源化施設への持ち込みの検討など、積算作業をする中で土砂運搬や殻運搬の運搬距離を算出する機会が多いと思います。

運搬距離の算出には「Googleマップ」「NAVITIME」「MapFan」などウェブサイトで行っている方が多いと思います。これらは手軽に利用できる一方、以下のデメリットがあります。

・大型車が走行できないルートが時々選ばれてしまう
・DID地区の走行の有無がわからない

サイト管理者は今まで「NAVITIME」を使っていましたが、上記の確認作業に時間がかかってしまっていました。

一方、(一財)建設物価調査会のWeb建設物価の付帯サービスで「建設物価Mapサービス」というものがあります。利用にはWeb建設物価の契約が必要なのですが、こちらのルート検索サービスでは

の機能が実装されており、これらを利用することで1工事あたり2〜3時間は積算作業にかかる時間が減りました。

おすすめですので、良かったら検討してみてください。より詳しい情報については、下記の記事で紹介しています。

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最後に

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ここまで記事を読んでくださってありがとうございました!

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