スラブドレーンの積算方法

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舗装工

スラブドレーンの積算方法についてまとめました。

スラブドレーンは橋梁の床版防水層とセットで施工される水抜き孔の機能を持った製品です。

この記事では主に以下のことについてまとめました。

・スラブドレーンとは
・スラブドレーンの積算方法
・スラブドレーンの材料費
・フレキシブルチューブの積算方法

スラブドレーンは橋梁補修工事の積算をする際に頻繁に出てくる材料です。
既設床版へのスラブドレーンの設置歩掛は現在のところなく、歩掛見積もりを取ったり、新設手間を準用採用したりといった手法で計上していることが多いと思います。
協会資料に既設床版への取付歩掛の掲載が待望されている工種の一つです。

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スラブドレーンとは

スラブドレーンは、(公社)日本道路協会の道路橋床版防水便覧における「床版の水抜き孔」の機能を持つ製品です。メーカー各社より製品が出ており、直径が30〜60mmのパイプ形状で材質にはステンレスや樹脂製などがあります。

図面では「床版の水抜き孔」と書かれることはあまりなく、スラブドレーンと書かれていることが一般的かと思います。

床版の水抜き孔とは

床版の水抜き孔とは、床版上や床版防水層上の滞留水、導水パイプや導水帯によって集水された水を床版下面に排水するための、床版を貫通する鉛直方向の排水設備である。

5.3.2 排水資材(2)床版の水抜き孔ー道路橋床版防水便覧(平成19年3月)

スラブドレーンは床版防水とセットで設置される

舗装面から浸入する水は、床版の塩害、疲労、ASRを引き起こす劣化要因であり、道路橋床版の耐久性向上のためには床版への水の影響を防ぐことが重要です。

床版防水層はこれら水の影響に対して有効な対策であることが分かっており、平成14年の道路橋示方書の改定より「アスファルト舗装とする場合は、橋面より浸入した雨水等が床版内部に浸透しないように防水層等を設けるものとする」と明記されました。

そのため、現在の新設橋梁では床版防水層の設置が原則とされています。

一方、既に床版やコンクリート桁に劣化及び変状が発生している橋梁では、これまで防水層が無かったことによる舗装面からの水の供給により劣化が促進している事例が多く、防水層が無い(と思われる)橋梁の補修工事を行う場合、舗装版を撤去して新たに防水層を設置する対策工が一般的に行われています。

スラブドレーンは床版上に滞留する水の排出を促すことを期待し、端部処理して設置する導水管と合わせて床版防水層を施工する際にセットで設置されます。

道路橋床版防水便覧(平成19年3月)では、防水層と導水管、床版水抜き孔を設置して床版防水システムを構築する手引きが記載されており、各発注主体の設計要領もこれを参考に作られています。

スラブドレーンの設置間隔

5.3.2 排水資材(2)床版の水抜き孔ー道路橋床版防水便覧(平成19年3月)(公社)日本道路協会

スラブドレーンの設置間隔は道路橋床版防水便覧(平成19年3月)では、縦断勾配が1%以下で5m、縦断勾配が1%を超える場合で10mと例示されています。
また、”床版不陸により床版上面に凹部があり滞水が避けられない場所にも床版の水抜き孔の設置を検討するとよい。”とされています。

スラブドレーンのメーカー

スラブドレーンは秩父産業株式会社が国内トップシェアを持っています。

出典:スラブドレーン構成図ースラブドレーンカタログ(秩父産業株式会社)http://www.ccbind.co.jp/item/1/catalog_1.pdf

新設橋への取り付け、既設橋への取り付け、どちらも対応可能な製品です。鋼床版に対応する製品ラインナップも用意されています。

(一財)建設物価調査会の『建設物価』、(一財)経済調査会の『積算資料』の両物価本に掲載のあるメーカーです。
他に物価本に掲載のある床版水抜き管は、株式会社橋梁メンテナンスの「クイックドレーン」があります。

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スラブドレーンの積算方法

スラブドレーンの設置費用については、積算基準には掲載がありません。(一社)日本建設機械施工協会が発行している「橋梁架設工事の積算」に掲載されている「床版水抜パイプ設置工」に記載されている歩掛で積算することが一般的です。

なお、掲載されている歩掛については、新設のみに適用可能な歩掛であることに注意してください。

床版水抜きパイプを据付ける際に使用する仮設キャップ(秩父産業のスラブドレーンでは”SDキャップ”に相当します)については、諸雑費率に含まれるため別途計上不要です。

スラブドレーンの歩掛は、平成30年度版の「橋梁架設工事の積算」以降に掲載されるようになりました。
歩掛が掲載される以前は、設置費用について歩掛見積を取ったり、材料費のみの計上で済ませることが一般的でした。将来的には「橋梁架設工事の積算」のみに掲載されている現状から進展し、積算基準に追加されるかもしれません。

新設の場合

先述しましたが、新設の場合の積算は「橋梁架設工事の積算」に掲載の設置歩掛を計上します。新設の場合はこの歩掛の計上のみでOKです。
適用範囲は、「床版水抜パイプの外径が60mm未満」の場合に限られていますが、これについては一般的な床版水抜き孔の製品であれば適用範囲から外れることは無いかと思います。
床版厚などについては特に条件区分ごとの歩掛掲載がなく、同じ歩掛を用いて問題ないようです。

排水管を設置した事例ー道路橋鉄筋コンクリート床版防水層設計・施工資料(昭和62年1月)(社)日本道路協会

なお、適用範囲には”鋼橋”が含まれますが、”鋼床版”の適用については明記がありません。(一社)日本建設機械施工協会に問い合わせたところ、”鋼床版については適用外”との回答がありました

ちなみに、秩父産業のスラブドレーンは鋼床版対応の製品ラインナップがあり、グースアスファルト対応のSDキャップがあるなど鋼床版への施工については問題ありません。

補修の場合

補修の場合は、新設の場合と比較すると積算に手間がかかります。理由は、床版水抜き管の設置にあたり、既設床版への削孔が必要になるからです。

スラブドレーンを既設床版へ取り付ける場合、床版内に樹脂で固定する水抜き管部分と床版上の集水部分とで必要な径が異なります。そのため、削孔は2段階に分けて実施する必要があるため、削孔の計上はスラブドレーン1本につき対応する大小口径の削孔2本分を計上することが適切と思われます。下記図であれば、φ100とφ50 の削孔径に対応する施工費をそれぞれ計上します。

出典:スラブドレーン構成図ースラブドレーンカタログ(秩父産業株式会社)http://www.ccbind.co.jp/item/1/catalog_1.pdf

設置にあたり、孔にスラブドレーンを取り付け、周囲に樹脂を流し込んで固定する作業が必要となります。現時点で適用できる歩掛は無いため、歩掛見積を取って計上することが無難かと思います。

削孔手間については積算基準の第Ⅱ編 第2章 共通工 コンクリート削孔工 での計上が選択肢に挙がると思います。
ただし、この場合にφ50コア抜きの削孔径に対し、適用範囲内となるのはさく岩機(ハンドドリル)となります。劣化した床版に対してコンプレッサー駆動のさく岩機の使用は、マイクロクラックなどの発生が懸念されます。管理人的にはコアボーリングマシンによる削孔を前提として積算することがオススメです。

コアボーリングマシンによる削孔を前提として積算する場合は、積算基準の第Ⅳ編 第3章 道路維持修繕工 (13)落橋防止装置工にアンカー径に応じたコアボーリングマシンによる削孔手間があるため、こちらで計上するのがオススメです。

補修工事でスラブドレーンを設置する作業は、削孔した孔にスラブドレーンを取り付け、孔に樹脂を流し込んで固定します。
これは、落橋防止装置工のアンカー工と類似の作業であるため、取付手間についてはこちらによる計上で代用することも案の一つです。ただし、樹脂の材料費を別途計上する必要があります。

補修でスラブドレーンを設置する場合、既設床版への削孔を行う際に床版鉄筋との干渉を防ぐため鉄筋探査が必要です。「橋梁架設工事の積算」に鉄筋探査の歩掛がありますので必要面積(m2)を算出し、共通仮設費の技術管理費に積み上げてください。なお、施工量が小規模の場合は別冊の『橋梁補修補強工事積算の手引き』より「極小規模鉄筋探査」として計上する必要があります。

スラブドレーンの設置における鉄筋探査については、図面特記などで実施について明示しておくとより親切です。

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スラブドレーンの材料費

物価本の掲載についての情報提供

秩父産業のスラブドレーンについては(一財)建設物価調査会の『建設物価』、(一財)経済調査会の『積算資料』の両物価本に単価掲載があります。

2020年12月号時点での単価の掲載場所について情報を記載しておきます。

  【規格】      【建設物価】   【積算資料】
標-0 床版厚160〜190 『Web建設物価』 『積算資料P.411』
標-1 床版厚180〜225 『Web建設物価』 『積算資料P.411』
標-2 床版厚210〜290 『建設物価P.339』『積算資料P.411』
標-3 床版厚240〜350 『建設物価P.339』『積算資料P.411』
標-4 床版厚300〜410 『Web建設物価』 『積算資料P.411』
標-5 床版厚380〜480 『Web建設物価』 『積算資料P.411』
標-6 床版厚440〜540 『Web建設物価』 『積算資料P.411』
標-7 床版厚540〜740 『Web建設物価』 『積算資料P.411』
標-8 床版厚680〜780 『Web建設物価』 『積算資料P.411』
標-9 床版厚740〜930 『Web建設物価』 『積算資料P.411』
標-10 床版厚900〜1100 『Web建設物価』 『積算資料P.411』
標-11 床版厚1040〜1230 『Web建設物価』 『積算資料P.411』
標-12 床版厚1200〜1490 『Web建設物価』 『積算資料P.411』
標-13 床版厚1340〜1530 『Web建設物価』 『積算資料P.411』

床版厚に対してラップしている部分があり、取り合いに余裕を持たせた規格設定になっています。床版厚に対してギリギリの規格を狙ったりせず、中央値に近い規格のものを選択すると良いと思います。

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フレキシブルチューブの積算方法

従来は垂れ流しによる設計とする場合もありましたが、現在はスラブドレーンからの排水はフレキシブルチューブにより桁下まで排水口を伸ばす、もしくは排水管に途中接続する方式とすることが一般的です。

設置費用については、スラブドレーンを新設する場合と同じく(一社)日本建設機械施工協会が発行している「橋梁架設工事の積算」に掲載されている「床版水抜パイプ用フレキシブルチューブ設置工」に記載されている歩掛で積算することが一般的です。

なお、掲載されている歩掛については、新設のみに適用可能な歩掛であることに注意してください。

ただし、管理人の個人的経験では「新設工事」で設置する場合も、「補修工事」で設置する場合も手間は変わらない印象があります。
「補修工事」の積算において当該の掲載されているフレキシブルチューブ設置歩掛を計上しても、特段問題になることは無いかと思います。

フレキシブルチューブの材料費

フレキシブルチューブの材料は、秩父産業の製品であれば「SUS製φ20」「SUS製φ25」「樹脂製φ25」のラインナップがあります。

大まかな使い分けとしては、
「SUS製φ20」・・・L=500mm未満
「SUS製φ25」・・・L=500mm以上
「樹脂製φ25」・・・「寒冷地」「塩害地」用
とのことです。(カタログより)

SUS製φ25及び樹脂製φ25については、物価本に掲載が無いため見積もり対応になります。
なお、材料費の計上については物価本に「1m未満の場合、1mの価格を適用」と注意書きされているため注意してください。

フレキシブルチューブは、桁や下部工などに固定しなければ強風を受けた場合に破損する可能性が高くなります。
対策として、サドルバンドなどで固定することが多いです。サドルバンドは株式会社アカギの製品がよく用いられます。参考リンクを貼っておきます。
http://www.akagi-nt.co.jp/seihin_guide/p0104.htm

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最後に

現時点(令和2年12月)の道路橋床版防水層のバイブルは、「道路橋床版防水便覧(平成19年3月) ー (公社)日本道路協会)」です。

ただ、平成19年に発行されてからこれまでに改定が無く、現在までの技術の進展と知見の蓄積について情報発信するため、土木学会より「道路橋床版防水システムガイドライン 2016 鋼構造シリーズ 28 ー 土木学会」が発行されています。

平成19年当時からは、床版上面の土砂化についての劣化が顕在化したことや、NEXCO規格のグレードⅡ高性能防水層の施工が進んでいることなど、床版防水を取り巻く社会状況も変化しています。この辺りも踏まえた内容となっていますので、ご一読されることをおすすめします。

以上で、スラブドレーンの積算方法についての記事を終わります。

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発注者支援業界に勤務。
公共工事の円滑な事業執行をサポートするため、積算・施工管理の分野で毎日頑張っています。

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