スクラップ控除とは

その他

今回は土木積算で取り扱うことの多いスクラップ控除についてまとめました。

「スクラップ控除?」
「どうして工事費から控除する必要があるの?」
「なんとなく〇〇の管理費区分に設定してるけど・・・」

そういった疑問にお応えできる記事内容にしました。
今回は積算で計上する際の注意点を前半に記載し、後半はスクラップのまとめ記事としています。

さっそく内容についてご紹介したいと思います。

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スクラップ控除の定義

スクラップ控除とは、工事積算において有価物であるスクラップ品引き取り費用を設計書に計上する際に、引き取り費用金額分を間接工事費率計算の対象額に含まれないように控除することを言います。これを行うことで、本来発生しているはずの間接工事費がスクラップ品を計上したことにより実際よりも低く見積もられてしまう現象を防ぐことができます。

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積算で計上する際の注意点

事業実施に当たり、工事進行の過程で発生する端材や番線などの鉄くず以外に鉄スクラップなどの有価物が発生した場合の取り扱い方法について書きます。

工事進行の過程以外で発生するものについては「現場発生品」と呼びます。現場発生品は、換金可能な場合は「有価物」として、処分に費用がかかる場合は「廃棄物」として扱う必要があります。

各発注機関ごとの取り決めについて確認

工事で発生したスクラップについては、通常の産業廃棄物処分と異なりスクラップ業者に持ち込むことで換金可能な「有価物」であるため単純に工事費に計上することができません。

仮にスクラップ品の持ち込みで発生する換金相当額を工事設計書の中でマイナス計上(以降、控除と呼びます。)すると、直接工事費が減算されることになります。これは一見すると特段の問題は無いように見えますが、直接工事費が減算される分、経費率で計上される間接工事費も減額されることになります。

間接工事費の内訳は「共通仮設費+現場管理費」です。
この状況を整理すると、「スクラップ控除額が多いほど間接工事費が少なくなる」ということになります。

これはちょっとおかしいですよね。実施工では程度に差はありますがスクラップ控除額に比例して管理費がかかるはずです。スクラップ量が増えれば現場内にヤードが必要になりますし、盗難対策も行わなければなりません。

この事象に対する取り扱い方法については発注機関によって考え方が異なることがあり、注意が必要です。適切な工事費算定のために取り扱い方法について確認しておく必要があります。

鉄スクラップなどの有価物の取り扱い方法については、概ね下記に示す2つの方法が取られています。

(A)スクラップによる換金相当額を工事設計書の中で控除
  (間接工事費や一般管理費などの諸経費の対象外として計上=間接費は減らない)
(B)工事設計書の中では計上しない

(A)によって処理していることが一般的かと思います。
(B)については「発注者側がスクラップを引き取り、一定量に達したら他の工事で発生したスクラップと合わせて一般競争入札などで売り払う。」などの対応が取られるかと思います。こちらは国交省工事などで取られている対応です。

また、(A)(B)どちらの方法で処理をするにせよ、現場発生品運搬を計上する必要がありますので注意してください。

スクラップ費の取り扱いについては各発注機関において取り決めがあると思いますので、まずはご自分の部署や関係部局に相談された方が良いと思います。

積算する際の計上方法

発注機関ごとに計算方法が異なります。スクラップ控除方法について通達を出している発注機関と、通達を出していない発注機関がありますので、まずは関係機関から出ている通達の有無を確認してください。

「工事設計書内で間接工事費の対象外としてスクラップ額を控除する」場合、以下のどちらかの方法が取られます。

(a)直接工事費に計上するが、スクラップ控除単価に「諸経費の対象外」とする管理費区分を紐づけておく。
(b)工事価格の算出時に控除する。
  (工事価格 = 工事原価 + 一般管理費 ー スクラップ額)

(a)(b)どちらの方法を取るかは発注機関が使用している積算ソフトの仕様や発注業務を統括する部署の考え方次第です。

どちらの手法でも最終的な工事価格はほとんど変わらないと思いますが、計算過程のまるめなどで多少変わってくることがあると思いますので、算出方法について統一しておいた方が良いと思います。

有価物であることに注意!

これは発注者側ではなく施工者側のモラルに関わる話でもありますが、請負工事に当たって現場発生した『有価物』(例えば”掘削作業を行ったところ、使われていない古い鋳鉄管が出てきた”などの場合です。工事進行の過程で発生する番線や端材などの鉄くずは除きます。)を監督員と協議をせずに売却した場合は、他人の財産を勝手に売却したことになるため刑事罰(横領罪)に問われる可能性があります。

現場発生品運搬についてのローカルルール(1)

スクラップの運搬については、スクラップ工場へ運搬する際の運搬費については現場発生品運搬で計上しますが、『スクラップ控除として単価計上がされないスクラップ』が存在します。例えばどのようなものかというと・・・

「当初より一部を撤去しない仮設材」として計上した仮設材のうち、撤去部分がスクラップ長未満の鋼材(市中価格×80%(中古) or 市中価格×90%(新品))

上記については、使用後のスクラップ工場までの運搬費を「計上する」と通達文を出している発注機関と「計上しない」と通達文を出している発注機関がありますので、取り扱いについて注意してください。

現場発生品運搬についてのローカルルール(2)

現場発生品運搬は「4t級 2.9t吊クレーン装置付トラック」もしくは「2t級 2.0t吊クレーン装置付トラック」で積算しますが、積算条件によっては4t級で運搬するよりも2t級で複数回の運搬費を計上した方が割安になる場合があります。この場合の取り扱いについては、各所属でご相談された方が良いかと思います。

「2tで何回も往復するのは施工実態に合わないだろ。」
「4tで計上したら過大積算なんじゃないの?」
どちらの意見もあると思います。

まとめ

以上で、積算で計上する際の注意点について終わります。

ここから先はスクラップについてのまとめ情報です。

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スクラップとは

スクラップは『建設物価』『積算資料』などの物価本では鉄スクラップと非鉄スクラップで分けて書かれています。

鉄スクラップ

鉄スクラップの特徴をまとめると以下になります。

鉄スクラップは発生品であるため、供給量が安定せず、需給バランスによって短期間で価格が大きく変動する。鉄スクラップは主に国内電気炉メーカーの原材料となるが、近年は輸出向けの需要の動向が、国内の価格動向に大きな影響を与える。(中略)鉄スクラップは建設解体工事や廃車、一般家庭など、使用済みの鉄鋼製品から発生するものと、自動車部品や建材、電機、機械、その他の工場から製造工程のなかで発生するものがある。前者を老廃スクラップ、後者は工場発生スクラップと呼ばれ、合わせて市中スクラップとしてまとめられている。なお、鉄鋼メーカーの製鋼工程で発生する自家発生スクラップは、再利用されるため、市中には出回らない。

P.792鉄スクラップ掲載価格の解説 ー 建設物価 2020年9月号 (一財)建設物価調査会

・短期間で価格が変動する。近年は輸出向けの需要の動向による影響が大きい。
・国内電気炉メーカーの原材料になる

鉄鋼業界は、鉄鉱石とコークスを原材料として高炉で鋼鉄を作る高炉メーカーとスクラップを原材料として電気炉で鉄を溶かしてリサイクルする電気炉メーカーに分かれます。

鉄スクラップ分類

『ヘビー HS』
鋼板、形鋼、丸鋼、レール、ポンチ(重機解体等に類するもの)

『ヘビーH1』
鋼板、形鋼、丸鋼、レール、ポンチ、平鋼、ボルト・ナット、肉厚3mm以上のパイプ等

『ヘビーH2』
鋼板、形鋼、丸鋼、重機解体、鋼矢板、鋳鋼品、鉄筋丸棒、肉厚3mm未満のパイプ等

『ヘビーH3』
軽量形鋼、鋼板、解体鉄筋バー、ガードレール、番線、ドラム缶等

『ヘビーH4』
薄鋼板、番線、針金、ワイヤーロープ、波板等

P.793鉄スクラップ分類表 ー 建設物価 2020年9月号 (一財)建設物価調査会

積算で使用する鉄スクラップ単価としては上記の『ヘビー〇〇』という分類に該当する単価を使うことが多いと思います。詳しい解説については、『建設物価』もしくは『積算資料』の各物価本に記載されていますので、そちらを読んでください。

鋼矢板やガードレールなどに該当する『ヘビーH2』『ヘビーH3』を計上する機会が多いのではないでしょうか。

補足情報

積算で単価の安いスクラップ単価を計上していた場合、
「工事設計書の控除額が減る=過大積算側になる」という問題があります。気になるようであれば、当初発注時点では想定されるうち最も高額なスクラップ単価を計上しておき、工事精算時に「スクラップ業者からランクの低いくず鉄と判断され、当初で想定していたよりも引き取り単価が低く、発注時に想定していた現場条件と異なる」といった理由で変更協議に応じる形で計上すればより安全ではあります。

どのランクの鉄スクラップ単価で計上するかは、各発注機関でローカルルールがあるかもしれません。

非鉄スクラップ

非鉄スクラップの特徴をまとめると以下なります。

非鉄スクラップは、鉄スクラップ同様、発生品であるため、供給量が安定しない。価格は海外で取引されている地金価格の動向と、国内需給により短期間で大きく変動する。近年は輸出向け需要の動向が国内の価格動向に影響を与えている。(中略)非鉄スクラップは建設解体工事や設備入替え工事など、使用済みの金属製品から発生するものと、自動車部品や電機などの工場から製造工程のなかで発生するものがある。前者は老廃スクラップ、後者は工場発生スクラップと呼ばれる。

P.796非鉄スクラップ掲載価格の解説 ー 建設物価 2020年9月号 (一財)建設物価調査会

・短期間で価格が変動する。近年は輸出向けの需要の動向による影響が大きい。

非鉄スクラップ分類

土木積算ではあまり出てくることがないと思いますが『銅』と『アルミ』について記載します。

【銅】

『1号銅線』
径又は厚さが1.3mm以上の銅線及び素線の径が1.3mm以上の銅より線で純良なもの
『2号銅線』
径又は厚さが0.35mm以上1.3mm未満の銅線及び素線の径が0.35mm以上1.3mm未満の銅より線で純良なもの
『上銅』
厚さが0.3mm以上の板、条、管、棒で純良なもので、かつ小片が混入されていないもの
『並銅』
径又は厚さが0.35mm以上のめっきを除去した銅。上銅に該当しない板、条、管、棒及び0.35mm以上の銅線
『下銅』
上記4品目に該当しない線、板、条、管、棒及び銅鋳物で、はんだ、タール、湯あかなどの少ないもの

【アルミ】

『新切1級』
アルミニウム99%以上、厚さ0.5mm以上のアルミニウム板及び条で純良なもの
『込みガラ』
アルミニウム・アルミニウム合金で混合したもの
『機械鋳物』
自動車鋳物以外のアルミニウム合金鋳物
『新切合金』
1種類のアルミニウム合金転伸材

P.796非鉄スクラップ分類表 ー 建設物価 2020年9月号 (一財)建設物価調査会

鉄スクラップもそうですが、実際に取引される際は物価資料の名称と整合しない場合が多いと思います。例えば純良な1号もしくは2号銅線であれば通称「ピカ」(ぴかぴかの銅線の略)と呼ばれ、線径で区分されずにまとめて買い取られたりします。

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最後に

以上が、土木積算でのスクラップ控除についてのまとめです。

土木積算では他に「工場製作時のスクラップ」があります。
こちらは計算方法が少し異なりますので別の機会に記事にしたいと思います。

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ここまで記事を読んでくださってありがとうございました!

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