舗装版切断【濁水処理の計算方法】

舗装工

舗装版切断の積算方法についてまとめました。

舗装版切断は舗装版の破砕撤去作業を行う際に舗装を残す部分がある場合に行う作業です。

この記事では舗装版切断の積算をする際の予備知識や注意点について理解しておくべき内容をまとめました。

舗装版切断時に発生する冷却水と切削粉が混じり合った濁水、乾式カッターの粉塵については、適切な処理を行うよう国から通達が出ており、各発注主体において取り扱いを定めています。

一方で、当初発注時や精算変更時の積算での取り扱い方法についてはそれぞれの発注主体ごとに方針が異なっており、統一した指針やガイドラインのようなものはありません。

現時点ではこれらの費用は間接工事費に含まれていないため、工事積算をする際は費用を別途計上する必要があります。

記事内では事例紹介を交えながら対応方針の現状などをまとめました。

この記事では以下のことについて書いています。

・舗装版切断が必要な理由
・舗装版切断の積算をする際の予備知識
・舗装版切断の積算をする際の注意点
・舗装版切断時の濁水量の算出事例紹介

スポンサーリンク

舗装版切断が必要な理由

舗装版切断は舗装版の破砕撤去作業を行う際に舗装を残す部分がある場合に行う作業です。コンクリートカッタにより既設の舗装版との境目を切断して縁切りします。

舗装版の打ち換えや、新たに道路下へ構造物を設置する場合などに不可欠な作業です。

画像提供:サン・シールド株式会社 様(https://www.sunshield.co.jp/

切断せずに舗装版を撤去することもできますが、この場合は以下のデメリットがあります。

・舗装を撤去した境界部分との通りが悪くなり出来栄えが悪くなる
・供用中に端部から骨材が飛散しやすくなる

各発注主体の工事仕様書においても、既設舗装版を撤去する際には舗装版切断の実施を定められていると思います。

工事発注時には忘れずに計上するようにしてください。

当初設計時点では舗装版切断の要否など詳細を詰めきれずに発注しなければならないこともあるかと思います。

舗装版切断は舗装を打ち換えるためには不可欠な作業です。工事精算時に設計変更を求められた場合は適切に対応する必要があります。

スポンサーリンク

舗装版切断の積算をする際の予備知識

舗装版切断工の積算基準では「アスファルト舗装版」「コンクリート舗装版」「コンクリート+アスファルト舗装(カバー)版」の3通りの条件があります。

国土技術政策総合研究所から出ている資料である「土木工事数量算出要領(案)」では以下のように掲載されています。「土木工事数量算出要領(案)」は、各地方整備局が発行する数量算出要領の元となっている資料です。

要領に則った数量拾いがされていれば、追加の手間はなくそのまま積算可能です。

3-3-3 令和2年度(4月版)土 木 工 事 数 量 算 出 要 領(案) ー 国土交通省
3-3-3 令和2年度(4月版)土 木 工 事 数 量 算 出 要 領(案) ー 国土交通省

大半の場合が切断する厚さは「15cm以下」になるのではないでしょうか。

15cm以上になる場合は以下に当てはまる場合かと思います。
・上層路盤に瀝青安定処理路盤を施工している場合
・オーバーレイにより舗装厚が厚くなっている場合
・フルデプスアスファルト舗装
・コンクリート舗装版
・コンポジット舗装
・空港舗装

他にも状況によって15cm以上になる事例が考えられますが、代表的な例としては上記が挙げられます。

スポンサーリンク

舗装版切断の積算をする際の注意点

ここからは、舗装版切断の積算をする際の注意点について書きたいと思います。

切断時に発生する濁水の処理

舗装版切断時に発生する冷却水と切削粉が混じり合った濁水や乾式カッターの粉塵について、適切な処理を行うよう国から通達が出ています。

この通達を元にして各発注主体では工事での取り扱いを定めており、工事受注者は舗装版切断をする際はこの取り扱いに則った方法で適切に回収・処理をしなければなりません。

工事積算をする際は、これら費用を見込んだ積算をする必要があります。

また、通達では排水の適正な処理がされているか、発注者においても工事受注者から提出されたマニフェストの写しなどによって確認するよう求めています。

積算基準ではバキューム式・湿式のコンクリートカッタによる施工パッケージとされており、舗装版切断時の濁水の回収は含まれています。
一方、運搬・処理費用については含まれていません。工事発注においては、この運搬・処理に関わる費用を別途見込んだ適切な積算をする必要があります。

なぜ舗装版切断によって発生する濁水の処理が必要なのか

舗装版の切削粉塵にヒ素、鉛、カドミウムなどの人体に有毒な金属が含まれる可能性が指摘されているためです。

基準値を超過した場合は、特別管理産業廃棄物として扱う必要があります。

一方で、超えることはないことが大半であるため、「汚泥」として産業廃棄物扱いとして処理することが一般に行われています。

国の通達

国からの関連通達は現在(2021年2月)までに3回出されています。

【平成24年3月13日】
舗装の切断作業時に発生する排水の処理について ー 事務連絡 国土交通省

【平成26年1月8日】
舗装の切断作業時に発生する排水の具体的処理方法について ー 事務連絡 国土交通省

【平成28年3月18日】
舗装の切断作業時に発生する排水の具体的処理方法の徹底について ー 事務連絡 国土交通省

特に、平成28年3月18日に出された3回目の通達では

舗装切断作業の際、切断機械から発生するブレード冷却水と切削粉が混じり合った排水については、(中略)回収し適正に処理するよう通知しているところであるが、回収した当該排水の適正な処理方法について、下記に留意の上、適切に施工がなされるよう関係者に再周知されたい。

舗装の切断作業時に発生する排水の具体的処理方法の徹底について ー 事務連絡 平成28年3月18日 国土交通省

ということで、平成26年に出された通達の内容を再度通達するものとなっています。通達の意図に沿った対応が進んでいない背景があったようです。

管理人的には、通達の意図に沿った対応が進まない理由は「発注者の積算に原因がある」と考えています。
当初設計書に費用項目として計上されていなければ、工事受注者の意識が向きづらくなってしまいがちになるのは仕方がありません。

濁水量の算出事例紹介

舗装版切断時の排水の処理の積算方法及び濁水量の算出方法について事例紹介します。

舗装版切断時に発生する濁水の積算方法及び濁水量の算出方法は各発注者によって異なっており、当初設計や変更設計の取り扱い方法も違いがあります。

この記事では、代表的な事例として下記A〜Dの4つのパターンを事例紹介したいと思います。

Aパターン:深さ当たりの係数で算出 V=0.023×t×L
Bパターン:日当り使用水量から割り返す方法
Cパターン:単位施工当たりの濁水発生量を決めておき算出する方法
Dパターン:実績精算

Aパターンが比較的よく見かける方法かと思います。
所属されている機関で決められている方法がある場合は、その方法に従って積算する必要があります。

Aパターン:深さ当たりの係数で算出 V=0.023×t×L

沖縄県の取り扱い事例を紹介します。

2 舗装版切断に発生する濁水の回収・運搬・処理に要する費用の積算について
 発生する濁水(汚泥)の回収・運搬・処分に要する費用は必要に応じて計上するものとする。精算にあたっては、運搬費と処分費の合計が最も経済的になるよう留意すること。

①回収費についての積算
 施工単価については、見積もり等により決定するものとする。
 回収する濁水(汚泥)の量は、現場の諸条件により処理量が変動するため、現場施工後に提出されるマニフェスト等により実数量を確認し精算変更をすることを原則とする。また、当初設計においては下記の濁水量算定式により算出し、計上するものとする。
 濁水量算定式
 V=0.023×t×L
V:発生する濁水量(m3
t:舗装版切断深さ(m)
L:舗装版切断延長(m)

②運搬費についての積算
 積算基準書Ⅱ-3-16-1 「泥水運搬工」によるものとする。なお、本歩掛によりがたい場合は別途考慮するものとする。

③処理費
 「建設廃棄物実態調査報告書」または、見積もりにより受入料金を計上するものとする。

アスファルト舗装版切断に伴い発生する濁水の取扱基準について(参考通知)別紙 ー 土技第1257号 平成24年3月28日 沖縄県土木建築部

「回収費についての積算(中略)見積もり等により決定するものとする。」とあります。現在の土木工事標準積算基準書に記載されている施工パッケージ単価であれば回収費は含まれているとありますので、上記対応は不要なのではないでしょうか。

濁水量については「V=0.023×t×L」という、濁水量算定の式を使って当初数量を算出する方法です。

こちらは割とよく見かける取り扱い方法かと思います。

Bパターン:日当り使用水量から割り返す方法

福島県の取り扱い事例を紹介します。

(1)切断・収集

「土木工事標準積算基準」第Ⅳ編第3章③舗装版切断工による。

(2)運搬
「土木工事標準積算基準」第Ⅱ編第3章⑧泥水運搬工による。なお、受注者自らが運搬しない(収集運搬業者へ委託する)など、実態との相違が認められる場合は、協議するものとする。

(3)排水(汚泥)の処理費用
「土木・建築関係事業単価表 参考資料」による。※処理費用は非公表

(4)運搬・処理費用に計上する当初設計数量(排水量)

当初設計数量(排水量)(m3
=当該工事施工量 / 日当たり施工量 × 日当たり使用水量 × 回収率

・日当たり施工量は、「土木工事標準積算基準」第Ⅰ編第12章③日当り標準作業量による。
・排水(汚泥)の比重は「1.4t/m3」とする。

別紙 舗装の切断作業時に発生する排水の具体的処理に関する留意事項 (一部省略して記載。原文についてはリンク参照)
別紙 舗装の切断作業時に発生する排水の具体的処理に関する留意事項

福島県では、濁水量の算出は日当り標準作業をした場合の切断水量から割り返す方法を採っています。

多くの取り扱いで見られる係数0.023を使用する方法ではなく、舗装厚ごとの濁水量の違いを表現しています。使用水量・回収率の算定根拠は不明ですが、恐らく独自調査した過去の実績からなのではないでしょうか。

取り扱いが策定された年度も比較的最近であり、先進的な事例かと思います。

なお、積算で上記取り扱い方法を標準”とするとされております。

設計変更時の取り扱いについては「排水量等を示す資料をとりまとめ、監督員と協議する」旨が記載されていますが、精算変更の判断基準については明記がありません。”標準”から大きく外れる現場条件についての協議がなければ基本的には変更しないスタンスなのかと思います。

当初発注時に計上する数量は比較的精度の期待できる暫定数量としておき、精算変更時の作業手間を減らす意図があると思われます。

工事受注者の濁水量の実績を各工事で提出するよう求めており、今後日当り使用水量・回収率の付表の精度も高くなってくる可能性が期待できます。

Cパターン:単位施工当たりの濁水発生量を決めておき算出する方法

愛知県の取り扱い事例を紹介します。

愛知県では、県独自の方法として積算基準に記載して運用されているようです。

第3章 道路維持修繕工 ③舗装版切断工 ー 積算基準及び歩掛表(その2) 平成24年10月1日 改訂
第3章 道路維持修繕工 ③舗装版切断工 ー 積算基準及び歩掛表(その2) 平成24年10月1日 改訂

県ホームページに記載されている内容を引用させていただきました。愛知県では舗装版厚ごとの100m施工当たりの濁水発生量が定義されており、県独自設定の積算基準として運用されているようです。

この方法で濁水量を算出する方法はシンプルに計算できるため、計算間違いが起きにくいメリットがあります。運搬した場合の計算方法までしっかりと明記されており親切な内容です。

福島県の場合と同様、記載の積算基準内ではこの発生量を”標準とする”と定義しています。設計変更の場合の取り扱いについての記載も特にありません。
したがって、当初設計で計上したこの濁水量から大きく外れるような特殊な現場事情についての協議がなければ設計変更することは無いのだと思われます。

なお、平成24年10月1日改訂の資料ですので、現在も同様の取り扱いをされているかは不明です。

Dパターン:完全実績精算

富山県の取り扱い事例を紹介します。

1 当初設計
 積算計上しない。
(排水の性状等により、処理単価が異なる処理施設が多いこと等により、当初設計時に処理先の経済比較を行うことが困難なため。)

2 変更設計
①受注者は排水の性状等をふまえ、原則として、現場周辺の処理施設3社以上から処理費用を見積徴収し、各処理施設ごとの運搬費と処理費についての見積を排水処理先の協議書として監督員に提出する。
②監督員は受注者から提出のあった協議書の内容を確認し、指示書で最も経済的となる処理施設に搬出することを受注者に指示する。
③変更設計に積算計上する。

舗装の切断作業時に発生する排水の処理について 別紙 ー 事務連絡 平成28年6月24日 富山県土木部

当初設計で計上しないことを宣言した丸投げパターンです。
見積りによって変更設計で計上するため、各現場の施工実態に沿った金額で精算ができるメリットがあります。
ただし、工事受注者には負担がかかる方法です。

切削オーバーレイの場合は舗装版切断の計上は必要なのか

切削オーバーレイを行う場合、舗装版切断の計上が必要なのかについてよく話題に上がります。

現在、流通している切削機の切削ドラムの回転方向は全ての機種で進行方向(道路縦断方向)に対して同じ方向を向く構造となっており、道路縦断方向の切削断面は垂直となります。したがって、縦断方向の舗装版切断によるカッター施工は行わないのが一般的です。

一方、横断方向については切削ドラムの回転方向の関係から、既設舗装の切削断面を垂直にすることができず、角の部分については既設舗装を取りきることができません。このため、横断方向の断面を垂直にしなければならない場合はカッターを入れて舗装版切断します。

日々解放して夜間施工する場合などは、施工回数×起終点2箇所の横断方向への舗装版切断の計上した方が良いかと思います。

スポンサーリンク

最後に

以上で、舗装版切断についての記事を終わります。

土木積算.comでは、この記事以外にも土木工事積算に関わる様々な情報を発信しています。
よろしければ他の記事も見ていってください。

このサイトはスマートフォンで閲覧する際にも見やすいように調整してありますので、お手持ちのスマートフォンでもご覧いただけます。

もし、記事の内容に誤りなどありましたらお手数ですがお問い合わせページからご連絡頂くか、TwitterアカウントにDMをお願いいたします。

また、説明不足やご不明な点、積算についてのお悩みがございましたら、同じくお問い合わせページからご連絡頂くか、TwitterアカウントにDMを頂ければできる範囲でお手伝い致します。

なお、ツイッターの方が返信率は高めです。

ここまで記事を読んでくださってありがとうございました!

それでは!

舗装工
スポンサーリンク
シェアする
\ Follow me /
土木積算.com

土木積算.comでは公共工事発注業務を行う方向けに土木工事積算に関する情報提供を行っています。
・土木工事標準積算基準書の解説
・各種工法の理解
・積算事例紹介

土木積算.comをフォローする
土木積算.com

コメント

  1. yamahei より:

    いつも勉強させて頂いています。

    乾式カッターに関する積算や粉塵処理についての取扱について教えてほしいです!

    • 管理人です。
      積算基準を調査・作成している立場にないため、あくまで管理人の個人的考え方になります。

      積算基準の施工パッケージ単価の想定されている代表機労材は「コンクリートカッタ[バキューム式・湿式]」とされています。
      ですが、実際にどのような機械で施工するかは工事受注者に委ねられますので、設計もしくは施工条件として乾式カッターの使用を指定する以外は、どのような機械を用いた場合においても工事積算としては湿式のパッケージ単価の計上でよろしいかと思います。
      併せまして、運搬・処理費についても湿式で施工した場合を想定した費用計上でよろしいかと思います。

      一方、施工条件として乾式カッター(例:ハスクバーナ社ソフカットなど)の使用を求める場合は、専門業者より見積もりを取って計上する形になるかと思います。
      当方では歩掛に関する資料は持ち合わせておりませんので、大変申し訳ありませんがこれについては回答できません。

      乾式カッターの粉塵処理の取り扱いについては、沖縄県の事例が参考になるかと思います。
      (https://www.pref.okinawa.jp/site/kankyo/seibi/sangyo/asufaruto.html)

\ Follow me /

土木積算.com

土木積算.comでは公共工事発注業務を行う方向けに土木工事積算に関する情報提供を行っています。
・土木工事標準積算基準書の解説
・各種工法の理解
・積算事例紹介

土木積算.comをフォローする

SNSフォローボタン

土木積算.comをフォローする
タイトルとURLをコピーしました