表面含浸材の積算方法

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橋梁補修

表面含浸材の積算方法についてまとめました。

この記事では以下のことについて書いています。

・表面含浸材とは
・表面含浸材の種類
・表面含浸材の積算方法
・土木工事標準単価を計上する際の注意点

表面含浸材は、主に1液性であり表面の下地処理後は含浸材の塗布作業のみで済む作業であるため、比較的簡便かつ短工期でコンクリート表面に機能付与することができる材料です。
また、表面含浸材は無色透明である材料が多く、構造物の外観を変えること無く施工できるという特徴もあります。

ただし、工事発注にあたっては積算基準では対応されておらず、物価本より”土木工事標準単価”を計上する必要があります。

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表面含浸材とは

主にコンクリート表面への撥水性などの機能付与、もしくはコンクリート表層部の組織の改質を目的としてコンクリート表面に塗布される材料です。主成分の違いにより、シラン系、けい酸塩系、その他の3つに大別されます。

コンクリート表面に同じく材料塗布する表面被覆工法と比較すると、
・1液性であることが多く施工に手間がかからないこと
・構造物の外見を変えることなく施工できること

などの特徴があります。

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表面含浸材の種類

先述しましたが、表面含浸材は主成分の違いにより、シラン系、けい酸塩系、その他の3つに大別されます。

詳しい機能付与メカニズムについては、メーカーなどのHPをご覧ください。
この記事では、積算する際に必要な最低限の基礎知識のみ掲載します。

シラン系

シラン系表面含浸材について引用説明します。
シラン系表面含浸材を施工する目的ははっ水機能の付与です。

シラン系表面含浸材は、アルキルアルコキシシランモノマーあるいはオリゴマーまたはこれらの混合物を主成分とし、水または、有機溶剤であるミネラルスピリットやイソプロピルアルコールで希釈した材料であり、浸透性吸水防止剤とも称されている。この材料をコンクリート表面に含浸させることにより、コンクリート表層から数mmの厚みの範囲にはっ水層(吸水防止層)が形成され、水や塩化物イオンなどの劣化因子の侵入を抑制することができる。

5.5.5 表面含浸工法 コンクリート診断技術’18[基礎編]ー(公社)日本コンクリート工学会

一方で、中性化対策にはその効果がほとんどないとされている。

5.5.5 表面含浸工法 コンクリート診断技術’18[基礎編]ー(公社)日本コンクリート工学会

中性化対策に効果が無いのは、透湿性に優れることが理由です。

シラン系含浸材について特徴をまとめます。

・コンクリート表面に塗布・含浸させることで、比較的簡単にはっ水機能(吸水防水層)を付与可能
・透湿性に優れる=中性化対策には効果が無い
・透湿性に優れる=ASRに対して悪影響が無いため、ASRが懸念される構造物にも適用可能

けい酸塩系

けい酸塩系は2種類に大別されます。
どちらもコンクリート表層の空隙を充填することで表層部の緻密化を図ることは共通です。

けい酸リチウム系

材料自体の乾燥により固化が進行し、その固化物によってコンクリート中の空隙を充填する。

5.5.5 表面含浸工法 コンクリート診断技術’18[基礎編]ー(公社)日本コンクリート工学会

施工の際は、下地が乾燥している必要があり、施工後は乾燥させることで性能を発揮します。

けい酸ナトリウム系

コンクリート中の水酸化カルシウムと反応し、C-S-H(けい酸カルシウム水和生成物)ゲルを生成して、コンクリート中の空隙を充填する。

5.5.5 表面含浸工法 コンクリート診断技術’18[基礎編]ー(公社)日本コンクリート工学会

施工の際は、下地が湿潤している必要があり、施工後は湿潤養生することで機能を発揮します。

けい酸塩系含浸材について特徴をまとめます。

・コンクリート表面に塗布・含浸させることで、表面の材料組成を緻密化させる。

「シラン系」と「けい酸塩系」についての詳しい情報は、「道路構造物ジャーナルNET」に土木研究所の方が寄稿している記事があるため、そちらを読んでください。リンクを貼っておきます。

シラン系およびけい酸塩系表面含浸材の適切な使い方ー(https://www.kozobutsu-hozen-journal.net/series/detail.php?id=6

その他の含浸材

アルカリ性付与材

主に建築分野で用いられる材料です。コンクリートのアルカリ性を回復させる効果があるため、中性化の進行した構造物に対して効果的です。
ただし、ASRの発生している構造物にとってはアルカリ性の付与は逆効果となりますので注意してください。

塗布型防錆剤

主に建築分野で用いられる材料です。塩害を受けているかぶりコンクリートに含浸させ、鋼材が腐食しにくい環境へ変える特徴があります。

その他

無機質浸透性防水材、ポリマー含浸材、アルカリシリカ反応抑制材、塗布型収縮低減材などの含浸材がある。

5.5.5 表面含浸工法 コンクリート診断技術’18[基礎編]ー(公社)日本コンクリート工学会

その他の含浸材の中では、土木分野では亜硝酸リチウムを使用したASR抑制対策含浸材を使う機会が多いと思います。

管理人的メモ

シラン系が最も施工される機会が多い

表面含浸材の中では、シラン系表面含浸材が最も使われる機会が多い印象です。
特に、大同塗料株式会社の「アクアシール1400」は目にする機会が多いです。

材料の値段は「だいたいシャンパンと同じくらい」

例を挙げるとアクアシール1400で6000円/kg程度です。
これは、概ねシャンパンと同じくらいの値段設定です。

表面含浸材は施工が簡便な特徴がありますが、材料自体は高級な材料です。
施工管理が簡便である分適当になりがちですが、これまで頑張った構造物に与えるご褒美だと思って大切に塗って頂きたいです。

施工管理手法が確立されていない

構造物の外観を変えずに施工できるメリットがある反面、確実に塗布管理ができる施工管理手法が確立されていません。
施工管理手法の課題については、「道路構造物ジャーナルネットNET」に土木研究所の方が寄稿している記事に詳細情報があります。リンクを貼っておきます。

シラン系表面含浸材の含浸深さの非破壊管理を目指してー(http://150.95.36.126/series/detail.php?id=146&page=1

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表面含浸材の積算方法

土木工事標準積算基準書には記載がない

表面含浸材の塗布作業については、積算基準には掲載がありません。現時点では、(一財)建設物価調査会の『土木コスト情報』もしくは(一財)経済調査会の『土木施工単価』に”土木工事標準単価”として掲載があります。

現時点では、この物価本以外に表面含浸材の塗布作業について施工費の記載している書籍は無く、土木工事標準単価の適用外となる場合は見積もり対応を取るしか選択肢は無いかと思います。

土木工事標準単価を計上する際の注意点

土木工事標準単価には単価の適用範囲があるため、計上する作業が適用範囲内であるか確認する必要があります。
『土木コスト情報』『土木施工単価』両誌より、代表的なものについて引用掲載します。

・含浸材の塗布量が0.1kg/m2以上0.35kg/m2以下の場合
・1現場当たりの対象面積が100m2以上の場合

適用範囲については、ここに記載している内容が全てでは無く、他にも記載がされている項目があります。詳しくは、実際に両書籍を読んで適用の可否について判断してください。

施工量は適用範囲内か

地方自治体などの中小規模の補修工事発注の場合、100m2未満の施工面積になることが多いと思われます。従って、適用範囲の中でも「1現場当たりの対象面積が100m2以上の場合」という条件については、ストレートに満足できる工事はそう多くないのではないでしょうか。

施工量が90m2程度だけども、見積もりとした場合は標準単価を大きく超えてかえって値段が高くなるかもしれないなぁ。どうしたら良いのだろうか。

せっかく表面含浸材を施工するのであれば、予防保全として劣化しやすい水かかり部などの追加施工を盛り込み、設計数量を100m2以上としてはどうでしょうか。補修工事として必要な設計量自体を増やすことにより経済的に発注できる場合もあります。

「簡易清掃」か「下地処理」か

塗布前の下地作業については、土木工事標準単価では「簡易清掃」と「下地処理」の2通りの単価の用意があり、どちらかを「含浸材塗布」と共に計上することになります。

『土木コスト情報』より留意事項を引用します。

「簡易清掃」
・コンクリート表面に付着している泥、ほこり、油脂などの汚れをワイヤーブラシ、サンドペーパー、水洗いなどで落とす程度の作業
・主に新設工事で計上する

「下地処理」
・コンクリート表面に付着しているレイタンス、ほこり、油脂類、塩分などの有害物をサンダーケレンなどにより除去する作業
・主に既設構造物の補修作業で計上する

高所作業車の使用の有無

土木工事標準単価では、含浸材の塗布作業にあたり高所作業車を使用する場合はその費用について織り込んだ単価の用意があります。

高所作業車の費用について別途計上してしまうと、2重計上になってしまうため注意してください。

材料費の計上を忘れずに

土木工事標準単価の「含浸材塗布」には含浸材の材料費は含まれていません。物価本などから、材料費について忘れずに計上する必要があります。

「建設物価」・・・P.195付近
(索引から探すなら「表面含浸材」)
「積算資料」・・・P.266付近
(索引から探すなら「コンクリート表面処理材(補)」)

材料費の数量の計算方法については、『土木コスト情報』もしくは『土木施工単価』に掲載されていますのでこちらを参照してください。

材料費 = 表面含浸材材料単価 × m2当たり標準使用量(kg・ℓ) × 設計数量

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最後に

以上で、表面含浸材の積算方法についての記事を終わります。

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ここまで記事を読んでくださってありがとうございました!

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土木積算.comの管理人です。
発注者支援業界に勤務。
公共工事の円滑な事業執行をサポートするため、積算・施工管理の分野で毎日頑張っています。

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