【仮設工】水替え工【締切排水工】

仮設工
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水替えの考え方についてまとめました。

標準積算基準書の水替え工は、半川締切しながら釜場を設置して排水するような比較的大規模な排水作業を想定しています。

最も流量の低い0m3/h以上40m3/h未満とした場合でも、口径150mm(6インチ)を想定することなります。側溝や集水桝の施工などで発生した地下水を排水する場合と比較すると少々大げさな歩掛となっているため、適用にあたっては注意してください。

また、標準積算基準書にも明記されていますがポンプの据付・撤去歩掛に関しては1締切現場当りポンプ据付・撤去台数が1〜5台が標準となっています。

設計変更をする場合に現場で設置・撤去を申告された回数をそのまま計上してしまうと過大積算になってしまう場合があるため注意してください。

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水替えとは

”水替え”とは、工事目的物を施工する位置にある河川水・地下水・雨水を水中ポンプで排水する作業のことです。類義語として、コルゲートパイプや仮設水路を設置し、一時的に河川や水路を移設する場合は”仮廻し”と呼ばれます。

積算基準の解説

締切排水工は、鋼矢板や大型土のうなどを用いて施工箇所に水が入ってこない状態で行う水中締切、地中締切内の排水工事で、全揚程が15m以下の場合に適用します。

設置・撤去歩掛

ポンプの設置・撤去歩掛が用意されており、こちらは重力排水工法のうち”かま場工法(釜場工法)”のかま場を設置・撤去する手間です。

かま場工法とは、少し掘り込んだ場所に水を集めて、水中ポンプで排水する工法で、排水工法のうち最も簡便なものです。

標準積算基準書では以下の注意点が明記されています。

1.バックホウは賃料
2.歩掛及び運転日数は、1締切現場当りポンプ設置・撤去台数が1〜5台が標準
3.歩掛には配管設置・撤去労務を含む
4.1工事中に数分割の締切がある場合は、1締切現場を1箇所とする

1工区につき、1箇所計上するといった感覚で計上するイメージで良いと思います。河川工事以外で適用する場合には少々大げさな積算基準ですが、土木工事標準積算基準にはこれ以外に水替え工の積算をする基準がありません。

ポンプ運転

締切排水工法で水替え時のポンプ運転歩掛は以下の組み合わせになっています。

ポンプ運転歩掛
= 特殊作業員 + 工事用水中モーターポンプ +(発動発電機+燃料費)

このポンプ運転歩掛は、排水量のランク分けが変わっても特殊作業員人数は変わりませんが、水中ポンプの口径及び台数と発動発電機の組み合わせが変わります。

機種の選定(ポンプ運転)

想定している時間あたり排水量(m3/h)に応じて、以下が標準とされています。

【0m3/h以上40m3/h未満】
(水中ポンプ)口径150mm(6インチ)×1台
(発動発電機)定格容量25kVA×1台

【40m3/h以上120m3/h未満】
(水中ポンプ)口径200mm(8インチ)×1台
(発動発電機)定格容量35kVA×1台

【120m3/h以上450m3/h未満】
(水中ポンプ)口径150mm(6インチ)×1台
(水中ポンプ)口径200mm(8インチ)×2台
(発動発電機)定格容量60kVA×1台

【450m3/h以上1,300m3/h未満】
(水中ポンプ)口径200mm(8インチ)×5台
(発動発電機)定格容量100kVA×1台

標準積算基準書で最低ランクの”0m3/h以上40m3/h未満”で標準とされている口径150mm(6インチ)ポンプは質量150kg前後あります。

口径200mm(8インチ)ポンプであれば、質量240kg前後です。当然人力作業は不可能ですので、機械を使用した設置作業が必要となります。

(参考資料:株式会社鶴見製作所 一般工事排水用水中ポンプ KRS型

通常、掘削作業などで湧出した地下水排出などに用いるのは人力設置可能な口径50mm(2インチ)ポンプが多いです。

2インチ水中ポンプがよく使われる理由は、ポンプの質量が10kg前後のため人力作業可能であることによります。

積算する際は、現地の施工条件についてしっかりと把握し積算基準で計上することの妥当性についてしっかりと認識した上で計上した方が良いかと思います。

都市部の道路工事や土留内の日常的な地下水排出などの作業ですと、積算基準のポンプ運転歩掛はオーバースペックです。

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積算する際の注意点

作業時排水

作業時排水とは、作業前(1〜3時間)から排水し始めて、作業終了後には排水を中止する方法です。なお、作業時排水には、コンクリート打設前後の型枠組立・養生などのために一時的に昼夜排水するものも含みます。

ポンプ運転日当りの運転時間は8時間です。

判断基準の解説

工事をしていない夜間や、土日祝日に工事箇所が水没していても問題ない現場であれば作業時排水を選択します。

工事目的物が水没しても品質に影響の無い場合、加えて安全管理上問題が無い場合であれば工事発注する官積算上は作業時排水とします。

実際に施工する工事受注者さんは常にドライの状態にして施工することが多いと思いますが、それは任意施工の範囲ということで積算と切り離して考えることが一般的かと思います。

常時排水

常時排水とは、昼夜連続的に排水する方法です。

ポンプ運転日当りの運転時間は24時間です。

運転日数には現場で作業が行われていない時間についても計算に含める必要があるため、運転日数は現場の作業日数に作業不稼働係数を掛けた日数で計算する必要があります。

水替えする対象の作業日数に不稼働係数をかけますので、計上する日数が増えます。また、運転歩掛も24時間対応のものになるため、作業時排水の単価と比較すると高額になります。

判断基準の解説

工事箇所が水没してはならない場合、例えば工事目的物の品質に影響がある場合や安全上の問題がある場合は常時排水を選択します。

なお、住宅地の工事など深夜の静粛性が要求される工事では、発動発電機ではなく商用電源方式で積算するなど現場条件に即した積算が求められます。

商用電源方式での計上は現場への電源引き込みに初期費用がかさみますが、日当りのランニングコストは安いです。水替え期間が長くなる場合は経済的になる場合があります。

商用電源方式で計上する場合

排水期間が長くなるため、商用電源とした方が経済的
・住宅地の工事など発動発電機を夜間運転させることができない

上記条件などに当てはまる場合は電源方式を商用電源として積算します。

商用電源で計上する場合は、仮設電力設備の計上が必要です。

商用電源方式とした場合は、ポンプ運転歩掛のうち発動発電機の項目を削除した歩掛を別途作成し、変わりに電力料金を役務費に積み上げることで対応可能かと思います。
詳しい積算方法については各所属の指示に従ってください。

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水替え工の仮設計画する際の参考資料

「水替工 流量計算」などのキーワード検索でこのページに来られる方が多いので、疑問について解決できる書籍を紹介します。

水替え工の仮設計画について検討を行う際は、「土木工事仮設計画ガイドブック(Ⅱ)ー (財)日本建設情報総合センター」に詳しく情報が示されていますので参考にすると良いです。

流量計算や、ポンプ台数の検討など詳しい計算方法が記載されています。

著作権の関係で内容については紹介できませんが、目次の中から水替え工に関係する部分について記載しておきます。

第9章 水替工及び地下水位低下工
9.1 概要
 9.1.1 概説
  (1)目的
  (2)適用範囲
  (3)用語の解説
 9.1.2 水替工の種類と特徴
  (1)水替工の種類
  (2)水替工の特徴
9.2 設備計画と設計
 9.2.1 設備計画と設計の基本
  (1)設備計画の手順
  (2)事前調査
  (3)透水係数の検討
  (4)排水量の算定
  (5)排水工法の選定
 9.2.2 設備の規模及び仕様の設計
  (1)ポンプ排水工法
  (2)ディープウェル排水工法
  (3)ウェルポイント排水工法
 9.2.3 設計計算例
  (1)ポンプ排水工法
  (2)ディープウェル排水工法
  (3)ウェルポイント排水工法
9.3 施工計画と積算
 9.3.1 施工概要
 9.3.2 施工方法と機種の選定
  (1)ポンプ排水設置・撤去
  (2)ウェルポイント設置・撤去
  (3)ディープウェル設置・撤去
 9.3.3 工事費の積算
  (1)工種体系ツリー
  (2)積算項目
  (3)数量集計表

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最後に

以上で、水替え工のまとめを終わります。

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それでは!

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