断面修復工(左官工法)の積算方法

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断面修復工(左官工法)の積算方法についてまとめました。

断面修復工は左官工法のみ積算基準に記載があります。
左官工法以外は、見積もりによって積算するのが一般的かと思います。

断面修復工(左官工法)の積算をする際の注意点については、特に「鉄筋ケレン・鉄筋防錆処理を”含む”と”含まない”が混在している場合」、中でも「修復延べ体積が0.1m3未満の場合」は注意が必要です。

今回の記事ではそのような場合の選択肢についてもまとめた内容にしました。

この記事では以下のことについて書いています。

・断面修復工とは
・積算に必要な情報及び数量計算式
・積算する上での注意点
・施工管理する上での注意点

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断面修復工とは

断面修復工とは、劣化などによって喪失したコンクリート構造物の断面の復元、もしくは中性化の進行や塩化物イオンなどの劣化因子が侵入したかぶりコンクリートの撤去復旧を行う作業です。

”かぶりコンクリート”とはコンクリート表面から鉄筋までの部分のコンクリートのことです。

コンクリートは本来アルカリ性で、鉄筋表面には不動態皮膜が形成されるため健全なコンクリート中の鉄筋であれば錆びることはありません。
ただ、コンクリートを中性化させる二酸化炭素や、鉄筋の不動態皮膜を破壊する塩化物イオンなどの劣化因子がかぶりコンクリートに侵入し、鉄筋位置まで到達した場合は鉄筋が錆びてしまう可能性が出てきます。

この劣化因子を除去する選択肢の一つが断面修復工です。

また、凍結融解の繰り返しを受けてスケーリングが発生している部分や、豆板などの不良部分についても断面修復工を実施することがあります。

『断面修復=かぶりコンクリートを復旧する補修作業』とイメージしてもらえば分かりやすいと思います。劣化した既設コンクリート部分をはつって撤去し、断面修復材料で復旧します。

要求される性能

断面修復材には以下に示す性能が求められます。

(1)圧縮、曲げおよび引張強度などが既存コンクリートと同等以上であること
(2)熱膨張係数、弾性係数およびポアソン比などが既存コンクリートと同等であること
(3)乾燥収縮が小さく、接着性が高いこと
(4)現場施工であるため作業性がよいこと

この中でも、(1)は当然ですが特に(2)(3)が充分でない場合は、既存コンクリートとの間で剥離や剥落が発生します。

断面修復工法の選定

断面修復工には、大きく分けて3つの工法があります。

「左官工法」
「充填工法」
「吹付け工法」

なお、後述しますがこの中で積算基準で対応しているものは「左官工法」のみです。

ここでは、各工法の概要のみ記載します。より専門的な内容については、メーカーや協会のホームページを参考にされた方が理解が早いと思います。なお、インターネット上にある資料であれば、以下の資料が良くまとめられていましたので参考にされると良いかもしれません。

材料・工法の選定に関する参考資料(案)平成28年12月5日 ー(一社)建設コンサルタンツ協会 九州支部 道路技術委員会(https://www.jcca.or.jp/kyokai/kyushu/kaiin/images/30oshirase/zairyoukouhou.pdf

左官工法

劣化部位を斫って撤去したのち、ポリマーセメントモルタルやエポキシ樹脂モルタルなどの断面修復材料をコテ塗りして復旧します。補修面積が比較的小さい場合に用いられる工法です。

ポリマーセメントモルタルは、最近はPCMと略称されることも多くなってきました。

充填工法

劣化部位を斫って撤去したのち、補修断面に合わせて型枠を組み、流動性に優れたコンクリートを充填します。補修面積が比較的大きい場合に用いられる工法です。

充填工法は下向き施工と相性が良いです。スラブ上面、沓座面などで採用される事例が多いです。

吹付け工法

劣化部位を斫って撤去したのち、吹き付けガンもしくは吹き付けノズルによって断面修復材を吹き付けます。補修面積が比較的大きい場合に用いられる工法です。

吹付け工法は、あらかじめ練り混ぜた断面修復材をポンプ圧送して吹き付ける湿式工法と、材料を空気圧で圧送して先端のノズル部分で水を加える乾式工法の2種類があります。

湿式工法の方が、粉塵やリバウンドが少なく一般的に仕上がり良く施工できます。ただし、圧送距離が長くなる場合は断面修復材の品質の低下や、施工困難になる場合があります。
一方、乾式はノズル位置で水を加えるため、作業者(ノズルマンと呼ばれます)の技能によって品質が左右する課題があります。

積算基準で対応しているのは左官工法のみ

上記で紹介したとおり、断面修復工は「左官工法」「充填工法」「吹付け工法」の3種類に大別されますが、このうち積算基準で対応しているのは「左官工法」のみです。

「左官工法」以外の場合は見積もりによって計上することが一般的だと思います。

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積算に必要な情報及び数量計算式

積算に必要な情報

ここでは、土木工事標準積算基準書 第2章 9-3 構造物補修工(断面修復工(左官工法))について記載します。

積算する際は、以下に示す条件を選択する必要がありますので順に解説していきます。

鉄筋ケレン・防錆処理を 含む or 含まない

数量については土木工事数量算出要領(案)で以下のように示されています。

1-12-3 令和2年度(4月版)土 木 工 事 数 量 算 出 要 領(案) ー 国土交通省

上記、数量算出要領では
「断面修復工(左官工法)を区分ごとに算出する」
「区分は、鉄筋ケレン・鉄筋防錆処理の有無とする」

と記載されています。

従って、防錆処理の有無によってそれぞれ分けて数量拾いをする必要があります。

鉄筋ケレンの防錆処理の有無は、「鉄筋の裏側まではつり出して防錆処理をするかどうか」が判断基準になると思います。

1構造物当りの修復延べ体積0.1m3 未満 or 以上

断面修復工の延べ体積が0.1m3を境に歩掛が変わります。

0.1m3未満では施工歩掛の単位は「1構造物当り」
0.1m3以上では施工歩掛の単位は「0.1m3当り」

となります。

図にすると以下のイメージです。

図.断面修復工(左官工法)施工費グラフ

この図から分かるように断面修復工(左官工法)を少量発注するのは不経済な場合があります。せっかく発注をするのであれば、0.1m3に達するまで数量を見込んだ方が効率は良いです。

積算ソフトによるかもしれませんが、0.1m3未満と0.1m3以上のどちらを選択しても恐らく単位は「構造物」当りに変換されて出てくると思います。

積算基準 第1編 総則 第5章 数値基準 では充てん工法、低圧注入工法、左官工法の設計表示単位はどれも数位1の「構造物」となっています。
したがって、契約表示単位は「構造物」が正解です。

断面修復工法の計算式

設計数量(m3
= 施工面積(m2) × 厚さ(m)

使用数量(m3
設計数量(m3×(1+K)
    K:ロス率 +0.18

断面修復材のロス率18%を見込んで計上する必要があります。
ただし、積算ソフトでは設計量を実数入力して、ロス率は自動加算される方法を取っていることが多いと思います。この場合は、計上した数量に対してきちんと計算がされているか、施工内訳を再検算することが望ましいです。

数量拾いされている計算過程を確認してください。数量拾いの時点でロス率が考慮されているのであれば、上記のように自動加算される場合はロス率を除いた数字に直して計上しなければなりません。
ロス率が二重計上とならないよう注意してください。

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積算する上での注意点

断面修復工での「1構造物」の定義

断面修復工(左官工法)は「構造物」あたりで積算しますが、積算基準では「1構造物」の定義について以下のように示されています。

(注)1構造物とは、1橋梁や1樋門等の全体を指し、構造物の規模や橋梁の上部・下部の区分、樋門等の連数による区分は設けない。

従って、橋梁などの上部工の断面修復工と下部工の断面修復工を同時発注する場合は、数量を合算して計上することになります。

鉄筋ケレン・鉄筋防錆処理を”含む”と”含まない”が混在している場合

「鉄筋ケレン・鉄筋防錆処理を”含む”と”含まない”が混在している場合」、中でも「修復延べ体積が0.1m3未満の場合」は注意が必要です。

修復延べ体積が0.1m3未満の場合は歩掛が「1構造物当り」、いわゆる常用で見積もりをするような歩掛となっています。そのため、”含む”と”含まない”をそれぞれ計上した場合は2構造物分の計上となってしまうため過大積算となる可能性があります。

これについての対応策は以下の4つのうちどれかになるかと思います。

(1)積算基準に依らず、見積もりとする
(2)合計して1m3以上になる場合は、それぞれを「修復延べ体積0.1m3以上」として計上する
(3)合計しても1m3未満の場合は、「鉄筋ケレン・鉄筋防錆処理を含む」に内包するものとして、”含む”と合算して計上する
(4)施工数量が0.1m3に近い場合は施工数量を増やして0.1m3以上とする

管理人的に優先順位は(1)→(2)→(4)→(3)になります。

見積もりを取っての計上で問題なければ良いですが、かえって高額になる場合もあります。

断面修復材料の単価

断面修復材の単価は(一財)建設物価調査会『建設物価』の「コンクリート断面修復材(1)ポリマーセメントモルタル 左官工法用(コテ塗り)」の単価を計上するのが一般的かと思います。

建設物価の掲載ページはP.191付近、索引から検索する場合は「コンクリート断面修復材」です。

足場は確保出来ているか

断面修復工(左官工法)の歩掛には、足場の設置費用は含まれていません。
手の届く範囲以外の作業を予定している場合は、足場の費用について別途計上する必要があります。

具体的には以下の選択肢があるかと思います。

(1)吊足場、脚周り足場
(2)高所作業車、橋梁点検車
(3)ローリングタワー

橋梁補修や構造物補修では(1)もしくは(2)を使うことが多いのではないでしょうか。

道路ボックスやトンネルなどでは小規模なものであれば(3)が選択肢に上がるかと思います。

ローリングタワーについて知らない方は、ググれば情報が出てきますので調べてください。
蛇足ですが、ローリングタワーは物価本に賃料掲載がありますので、こちらより単価計上します。なお、運搬費については運搬費率分に含まれる運搬費のうち”器材等”に該当するとして取り扱って良いと思われます。

道路ボックスは適用範囲外

以下の条件は適用範囲外とする。
・水中部
・道路トンネル(覆道、道路ボックスカルバート等含む)

国土交通省 土木工事標準積算基準書(共通編)令和2年度版 Ⅱ-2-⑨-7

上記より、トンネルや道路ボックスなどには断面修復工(左官工法)の積算基準は適用できません。代替する積算基準も用意されていませんので、ボックスカルバートの補修工事などでは見積もりを取る必要があります。

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施工管理する上での注意点

フェザーエッジに注意

既設部位のはつり作業をする際、施工箇所の端部が”フェザーエッジ”と呼ばれる状態にならないように注意する必要があります。フェザーエッジとなってしまった場合、断面修復材がうまく接着せず、剥離などの再劣化の原因になります。

対策としては、はつり箇所の周囲に10mm程度のカッターを入れてからはつり作業をする必要があります。古い構造物などでかぶりがほぼ無い場合には鉄筋に接触しないよう注意が必要です。

6.3 補修工法 コンクリートのひび割れ調査、補修・補強指針-2013- ー (公社)日本コンクリート工学会

積算基準の断面修復工(左官工法)では「カッター工含む」とあります。このカッター工とは、上記の作業を想定したものと思われます。

鉄筋かぶりを確保出来ない場合

古い構造構造物の断面修復工を行う場合、既設コンクリートのかぶりがほぼ無い場合があります。この場合、現代の基準に合わせてかぶりを確保することが必要です。図面に「かぶりが無い場合はかぶりを確保して施工すること。」と図面特記をしておくと安全です。

ただし、実施工ではかぶりを確保しようとした場合、過度に厚塗りの箇所が出てきてしまって、いびつな表面になってしまう場合があります。また、厚塗り部分は出来形の厚さ管理が出来ないといった問題も出てきます。

このように、増し塗りによるかぶりの確保が困難な場合は「表面被覆工法」や「表面含浸材」を追加施工することも代替対策の選択肢となります。かぶりを増やすのと同等の効果が得られれば設計上問題無いはずです。

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最後に

以上で、断面修復工(左官工法)の積算方法の記事を終わります。

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発注者支援業界に勤務。
公共工事の円滑な事業執行をサポートするため、積算・施工管理の分野で毎日頑張っています。

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