【場所打ち杭】オールケーシング工【全回転式】

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基礎工

オールケーシング工法を積算する際の注意点をまとめました。

土木工事標準積算基準書のオールケーシング工では「施工機械足場用の足場材(敷鉄板)賃料及び設置・撤去・移設」が含まれているとされているため、オールケーシング工の施工に必要な敷鉄板の費用を別途計上する必要はありません。

また、杭頭処理高は各発注主体の仕様書でかご筋の鉄筋天端までコンクリート打設を求めている場合がありますので注意してください。

この記事内では以下のことについて書いています。

・オールケーシング工法とは
・オールケーシング工の積算方法
・オールケーシング工を積算する際の注意点

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オールケーシング工法とは

オールケーシング工法とは、場所打ち杭の工法の一つです。ケーシングと呼ばれる鋼鉄製の筒(ケーシングチューブ)を掘削機で地中に圧入し、孔壁を保護しながら所定の深さまで掘削し、掘削後はかご筋を建込み、コンクリートを打設する工法です。

掘削機の規格

オールケーシング工の掘削機には「回転式」と「揺動式」があり、現在の主流は「回転式」です。

近年の積算基準の改定にて、揺動式は”使われる事例が少なくなった”とのことで積算基準への掲載が無くなりました。そのため、現在は土質や杭径に関係なく回転式で積算します。

以下に、簡単にですが回転式と揺動式の概要を掲載します。

回転式

回転式はケーシングと呼ばれる鋼板製の筒(ケーシングチューブ)を地盤に回転させながら圧入し、筒の中の土砂をクローラクレーン などの補助クレーンで吊ったハンマグラブで掘削する工法です。

先端のカッティングエッジに超硬チップのついたカッタービットを一方向に回転させることにより、鉄筋コンクリートなどの地中障害物や、硬質な転石、岩盤等も切削することが可能である、揺動式機よりフリクションカットに優れ、作用トルクが強大なので大深度の掘削ができる。

Ⅱ.2.1.(1).1).①.回転式機 ー 杭基礎施工便覧 平成27年3月 ー (公社)日本道路協会
オールケーシング回転式、据置式補助クレーン掘削タイプの施工状況 ー 杭基礎施工便覧 平成27年3月 ー (公社)日本道路協会

掘削機(上図でいう回転式機)は簡単に表現すると大きな油圧ジャッキです。

圧入の際には、ケーシングチューブを回転させながら尺取虫のように地盤に押し込んでいきます。回転力に対して反力が発生するため、一般的にはクローラクレーンのキャタピラに反力取り装置を取り付けて対応します。
(上図では回転式機にウェイトを載せることにより対応している例です)

掘削後はスライム処理を行い、かご筋を建込みます。その後、生コンを投入しつつケーシングチューブをジャッキで引抜くようにして杭を造成します。

硬質地盤にも対応可能で、騒音・振動も比較的少なく口径の大きい杭が造成可能であるなど、汎用性が高い工法です。

揺動式

先端にカッティングエッジを設けたケーシングチューブに、揺動圧入、引抜きを繰り返して屈伸する。掘削機は杭径、掘削長、土質および現場条件等を考慮し、ケーシングチューブの周面抵抗力に対応できる能力のものを選定する。

Ⅱ.2.1.(1).1).①.揺動式機 ー 杭基礎施工便覧 平成27年3月 ー (公社)日本道路協会
オールケーシング揺動式、自走型自主掘削タイプの概要 ー 杭基礎施工便覧 平成27年3月 ー (公社)日本道路協会

従来は、揺動式掘削機がオールケーシング工法の主流の掘削機として用いられていました。

現在は、回転式の方が汎用性が高く、広く普及している状況となったため揺動式は積算基準に掲載されなくなりました。揺動式の掘削機の新規製造はされていないとのことです。

揺動式の掘削機を使った工法はベノト工法とも呼ばれます。

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オールケーシング工の積算方法

ここからは、オールケーシング工を積算する際の注意点などの情報提供です。

前述しましたが、積算基準では全回転式の掘削機を使ったオールケーシング工法が掲載されています。

積算する際には下記の情報が必要です。

・設計杭径(mm)
・レキ質土、粘性土、砂及び砂質土の掘削長(m)
・岩塊・玉石、軟岩(Ⅰ)の掘削長(m)
・軟岩(Ⅱ)の掘削長(m)
・硬岩(Ⅰ)、中硬岩の掘削長(m)
・杭長(m)

数量算出の段階で「土木工事数量算出要領(案)」に規定されている方法で数量拾いがされていれば、そのまま問題無く積算できるかと思います。

参考として、下記に要領の当該部分について転載します。

9-5-4 令和2年度(4月版)土 木 工 事 数 量 算 出 要 領(案) ー 国土交通省

積算する際、以下の点は特に間違いやすいので注意してください。
(1)施工基面は正しく想定されているか
※矢板締切などで土留して施工する場合は、施工基面(=掘削天端)は矢板天端と同じ基準高になっているはずです。
(2)ジャストポイントもしくは信頼できる近隣のボーリングデータを使用しているか
※谷や斜面地で場所打ち杭を施工する場合は、少しの場所のずれでも柱状図が大きく異なる場合があります。
(3)杭頭処理長は正しいか
※杭頭処理長さ=余盛り量です。一般的には孔内水がある場合0.8〜1.0m程度とされています。(杭基礎施工便覧(H27.3)より)

掘削長の合計 = 杭長 ではないので注意してください。
通常、掘削長は施工基面(もしくは原地盤ライン)から杭下端までの標高差と一致するはずです。

なお、積算基準には記載されていませんが杭穴の埋戻し整地については施工歩掛に含まれています。別途、埋戻し手間を計上してしまうと二重計上になりますので注意してください。
(参考URL:https://www.kensetu-bukka.or.jp/faq/00soudan/np7tcj00000006ag/

設計杭径が2,000mmを超える場合

設計杭径が2,000mmを超える場合や、掘削長が積算基準の適用範囲より長くなる場合は、「大口径岩盤削孔工法の積算」 (一社)日本建設機械施工協会で積算します。

リンク:東京官書普及(株)ー 令和元年度版 大口径岩盤削孔工法の積算
https://www.tokyo-kansho.co.jp/asp/book/book_detail/?id=4e7a0c443f974556186158e9fe8668d7

無溶接工法を使ったかご筋の積算方法

平成24年の道路橋示方書の改定にて、「場所打ちコンクリート杭の鉄筋かごの組立て上の計上保持などのための溶接を用いてはならない」と規定されて以降、鉄筋かごの組立ては無溶接工法を用いることが必須になりました。

そのため、鉄筋かごの積算は無溶接工法を想定した費用計上をする必要があります。

無溶接工法を使ったかご筋の積算方法は以下の記事で解説していますので参考にしてください。

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オールケーシング工を積算する時の注意点

施工機械の足場用敷鉄板については施工歩掛に含まれている

オールケーシング工の施工歩掛では諸雑費率を計上します。

この諸雑費率の説明書きにて「施工機械足場用の足場材(敷鉄板)賃料及び設置・撤去・移設」が含まれているとされているため、オールケーシング工の施工に必要な敷鉄板の費用を別途計上する必要はありません。

例えば、設計変更で敷鉄板の費用について変更契約することになった場合など、工事受注者の提示数量をそのまま計上してしまうと二重計上になる場合があります。注意してください。

足場用敷鉄板の枚数で悩まれている方は、後述の施工ヤードのところでヒントを書きましたので参考にしてみてください。

オールケーシング掘削機の分解組立費用の計上を忘れないように

オールケーシング掘削機の分解組立費用の計上を忘れないように注意してください。

令和2年度の積算基準では一部に〔クローラ式〕の記載が残っていますが、積算基準の改定により現在では〔スキッド式〕しか計上する機会は無いはずです。

対岸の橋台へ移動する場合など、比較的近距離の移動であれば「分解・組立」のみを計上し、輸送費は計上しなくても良いかもしれません。

詳しくは以下の記事で書いていますので参考にしてください。

クローラクレーンの分解組立費用の計上を忘れないように

同上ではありますが、クローラクレーンの分解組立費用の計上を忘れないように注意してください。

なお、場所打ち杭の前工程が仮締切や土留、仮桟橋といった施工で類似規格のクローラクレーンを使用する場合に「場所打ち杭の施工においても同じクローラクレーンを使用する」として分解組立輸送費を省略して積算する事例があります。

これは積算上問題無いように見えますが、実施工では基礎工事を専門にした別の下請け業者が入るのが普通です。

「場所打ち杭の施工では基礎工事の専門業者が自社保有しているクローラクレーンを使用する」として積算するのが一般的かと思います。

矢板打込みなどの仮設工の後に連続して同じクレーンで基礎工をする場合がもしかしたらあるかもしれませんが、一般的にはあまり無い事例だと思います。

杭頭処理の天端高に注意

杭頭処理長さ=余盛り量です。一般的には孔内水がある場合0.8〜1.0m程度とされています。(杭基礎施工便覧(H27.3)より)

ただ、各発注主体の仕様書によっては、下記の例のようにかご筋の鉄筋天端までコンクリート打設を求めている場合がありますので注意してください。

オールケーシング工法による場所打杭の施工にあたっては、鉄筋天端高さまでコンクリートを打ち込み、硬化後、設計図書に示す高さまで取り壊すものとする。

第3編 土木工事共通編 第2章 一般施工 3-2-4-5 場所打杭工 13.杭頭の処理 ー 土木工事共通仕様書 令和2年版 国土交通省関東地方整備局

当然ですが、便覧や設計要領よりも仕様書の方が優先度は高いです。

この場合は仕様書に従わなければなりません。

工事仕様書と一致した設計となっていない状態で設計委託成果が納品されている場合があります。注意してください。

施工基面について確認すること

鋼矢板などで締切や土留を行って場所打ち杭を施工する場合、仮桟橋などを使用しない場合は施工基面は矢板天端と同じ基準高となるはずです。

同じでない場合は矢板天端が飛び出している形になりますので、相伴のクローラクレーンの通行が困難になります。

これでは施工上支障をきたしますので、発注前に施工基面の観点から設計の妥当性を確認してください。

矢板打込完了後の作業は施工基面までの”埋戻し”となります。
いきなり原地盤ラインからの床掘から始まる数量拾いをされていて、最初の埋戻し数量を拾い忘れている場合がありますので注意してください。

ヤードの確保が出来ない場合は鉄筋かごの組立てを他所でやる

場所打ち杭の施工には、既製杭を施工する場合と比較すると大きな施工ヤードが必要となります。

Ⅱ-2.1.(4) 施工ヤード ー 杭基礎施工便覧(平成27年3月)(公社)日本道路協会

上記の図は、杭基礎施工便覧より作業ヤードの例を引用した図です。

この図から分かるように、場所打ち杭の施工ヤードは

・掘削機や補助クレーンなどの作業スペースを含んだ占有面積
・スラッシュタンクなどで構成する孔内水プラントや鉄筋加工場
・鉄筋かご置き場
・掘削土砂の仮置きヤード
・工事車両の通路や待機場所

が必要となり、標準的なヤードで18m×35m程度の広大なヤードが必要となります。

ただし、このヤード面積は必ずしも全て必要なわけではなく、杭基礎施工便覧によると

(1)敷地外に孔内水プラントを設置しパイプラインでつなぐ
(2)鉄筋加工を場外で行い必要な時期に輸送搬入する

といった対策を行えば、もう少し小さなヤードで済みます。

便覧に示された標準的な施工ヤードが足りない現場条件で発注した場合、上記の費用計上を請求される場合が出てくるかと思います。

もしも発注者側で用意できるヤードが標準的なヤード範囲よりも狭小である場合は、増額を見込んだ発注をするようにしましょう。

上記図、よく見ると敷鉄板らしきものが描図されています。

1,604×6,096(5×20板)12枚
かご筋の加工場に隠れる形で描図されています。

場所打ち杭の足場用敷鉄板の枚数で悩まれている場合は、この枚数を根拠として判断しても良いかもしれません。

便覧に記載されている内容ですので信頼して良いはずです。

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最後に

以上で、オールケーシング工法の積算方法についての記事を終わります。

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発注者支援業界に勤務。
公共工事の円滑な事業執行をサポートするため、積算・施工管理の分野で毎日頑張っています。

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